2017年04月12日 14:00 〜 15:00 10階ホール
岩尾聡士 高齢社会街づくり研究所代表取締役 「チェンジ・メーカーズに聞く」20

会見メモ

名古屋大学特任教授の医師として、高齢社会におけるヘルスケア問題に取り組んできた。昨年11月に低価格での在宅医療・看護・介護サービスを提供する タウンホスピタル“IWAOモデル”を名古屋市にオープン。「団塊世代が後期高齢者になるまでの5年をメドに、AIなどを活用したこのモデルを世界に紹介できるレベルまでもっていきたい」と言う。北九州出身、1962年生まれ。

 

司会 安井孝之 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

目指すは「持続可能なヘルスケア」

明珍 美紀 (毎日新聞社会部)

「私、医者なんですがボクサーでもありまして」。会見の出だしから意外な発言が飛び出した。名古屋大学医学部在学中の28歳からボクシングを始め、30代前半で全日本社会人選手権3位。「2020年の東京五輪はボクシング競技のスポーツドクターとして参加できそうです」

 

ファイトあふれるドクターが、超高齢化社会に突入したこの国に「医療と看護、介護が連携したシステムを」と取り組むプロジェクトが「CBMCヘルスケアイノベーションIWAOモデル」だ。CBMCはコミュニティー・ベイスド・メディシン・アンド・ケアの略。「街全体で高齢者を見守る体制をつくりたい。医療、看護、介護がフラットな関係であることが必要」と強調する。

 

臨床の現場で「このままでは日本の医療、介護は崩壊する」と危機感を抱き、名古屋大学発のベンチャーとして2011年、名古屋市に「高齢社会街づくり研究所」を設立。医療法人や地元企業の協力を得てサービス付き高齢者向け住宅や在宅ケア、リハビリセンターなどの整備を進めてきた。さらに「タウンホスピタルIWAOモデル」構想を打ち出した。病気予防から緩和ケアまで継ぎ目のないシームレスなサービスを提供する「スペシャリティーケアステーション」を中核に、「お年寄りや子ども、障害者などみんなが安心して暮らせる街づくりを目指す」。

 

専門は内科。公私共にパートナーの妻康子さんは外科医だ。3月まで同大大学院特任教授だったが、今後は事業に専念し、看護師やセラピストの人材確保に乗り出す。「資格はあるが働いていない人が大勢いる。それらの人々の労働条件をよくするためにも株式市場に上場し、ヘルスケアビジネスの近代化を図りたい」

 

団塊世代が後期高齢者となる「2025年問題」が迫る。「持続可能なヘルスケア」を掲げて「名古屋から改革を」と意気込む岩尾さんの挑戦に注目したい。


ゲスト / Guest

  • 岩尾聡士 / Satoshi Iwao

    日本 / Japan

    高齢社会街づくり研究所代表取締役 / President, Consortium for Senior Research

研究テーマ:「チェンジ・メーカーズに聞く」

研究会回数:20

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