2017年03月08日 14:00 〜 15:00 10階ホール
「チェンジ・メーカーズに聞く」 (17) 澤田秀雄 エイチ・アイ・エス会長・社長

会見メモ

H.I.S.の創業者。グループ傘下のハウステンボス社長として18年間の赤字を半年で黒字化した。ロボットが接客する「変なホテル」の開業、自然エネルギーや植物工場分野にも進出する。「生産性向上以外に世界で勝てる道はない」

 

司会 安井孝之 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

エネルギッシュに「夢」を開く

八牧 浩行 (時事通信出身)

1980年に旅行業界のベンチャーとして格安航空券販売をスタート。航空会社やホテルの経営などチャレンジを繰り返してきた。今年66歳の今でも事業に賭ける意欲は衰えることを知らない。会見でも新たな事業構想をエネルギッシュに披露した。

 

2010年には 長年赤字続きだった長崎の「ハウステンボス」を子会社化し、蘇生した。その秘訣を問われ、「まず黒字になるイメージを描いた。売り上げ2割増の目標を立て、無駄な経費を削る将来像を描いて計画に落としていった」と明かした。ハウステンボス歌劇団の結成や「100万本のバラ」プロジェクトなどが客の感動を呼び、来場者が増えたという。一方、成功の陰で「失敗したことも数限りある」とふり返った。 

 

15年7月には ロボットホテル「変なホテル」を開業。ロボットがスタッフに代わって、チェックイン・アウトから清掃まで行い、当初30人いた従業員が、今ではわずか7人。近く6人体制になる。「ロボットホテルは格安観光需要に適合し、人出不足対策にもなる」と強調した。名古屋、大阪、東京のほか、台北、上海でも開設する計画という。

 

ロボットが人の仕事を奪うのではないかとの質問にも、「人がやりたくない仕事や単純作業はロボットがやり、人間の一日の労働時間8時間が5時間に短縮される。余暇を楽しむ時代が到来し、海外旅行にもっと行けるようになる」とよどみない。

 

本業の観光産業については、「自動車関連業界を抜き、日本最大の産業となる」と指摘。特にインバウンド(訪日観光)部門が大きく伸び、やがて年間6000万人規模に拡大すると予測した。「日本には観光資源が多いので情報をネットで広く伝えれば、もっと来てもらえる」と提案した。旅行ビジネスは「高所得者向けの超高級分野と格安分野に2極分化する」という。

 

H.I.S.の業務分野はロボット、エネルギー、農業、証券会社経営にまで広がる。「未来を見据え新しい産業、夢のある分野を開拓したい。儲けは世の中のために投資し、5年後、10年後に社会に貢献できるようにしたい」と終始前向きだった。


ゲスト / Guest

  • 澤田秀雄 / Hideo Sawada

    日本 / Japan

    エイチ・アイ・エス会長・社長 / Chairman, H.I.S.

研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く

研究会回数:17

ページのTOPへ