会見リポート
2016年07月26日
13:00 〜 14:30
著者と語る『2050近未来シミュレーション 日本復活』クライド・プレストウィッツ 米経済戦略研究所所長
会見メモ
レーガン政権で商務長官特別補佐官として日米貿易交渉を担当した知日派の論客が、日米両超大国時代の到来を予見する著書について話し、記者の質問に答えた。
司会 会田弘継 日本記者クラブ前企画委員長
通訳 池田薫
会見リポート
旧ジャパンバッシャー 日本再生に期待
会田 弘継 (共同通信社客員論説委員)
往年のジャパンバッシャー(日本叩き論者)の登壇が懐かしいのか、会見会場は年配の会員でぎっしり埋まった。1980年代、レーガン米政権の商務長官特別補佐官として、自動車や半導体貿易で対日交渉に当たった。70代半ばの今も、ワシントンで自身の事務所「経済戦略研究所」を設け、活躍している。
そのプレストウィッツ氏の最新刊が『日本再生』。70〜80年代、あんなに勢いの良かった日本が「いったいどうしてしまったんだ」という思いを抱いて、書いたという。
2050年。米ボーイング社は日本の三菱重工に買収され、その三菱の超音速ジェット旅客機がワシントン―東京を2時間半で結ぶなど、あらゆる技術分野で世界をリードする日本が再び世界経済に覇を唱えている。経済ばかりでない。教育でも、安全保障でも・・・。なんとも景気のいい話だが、そこに至る前に、日本は明治維新期や第二次大戦での敗戦に匹敵する国家存亡の大危機に直面する、という近未来予測モノだ。
なるほどという提案に溢れているが、日本がそれらの大改革に進むほどの危機意識を持つ事態が果たして本当にやってくるのか。プレストウィッツ氏は、現に日本が直面する危機のうち最も深刻なのは人口減と高齢化だと指摘する。
同氏のもう1つの重要な警告は、トランプ大統領が生まれようと生まれまいと「アメリカはいつまでも同盟国の面倒を見続けることとはできない」という点だ。『日本再生』ではインドや豪州、韓国などと結んでアジア版NATOが生まれ、日本はそこで中心的な役割を果たすことになる。きな臭くはあるが、経済大発展よりもこちらの方が現実味が濃いようにも思えた。
ゲスト / Guest
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クライド・プレストウィッツ / Clyde Prestowitz
米経済戦略研究所所長 / President, Economic Strategy Institute