2016年02月25日 14:30 〜 15:30 9階会見場
スウィング 国際移住機関(IOM)事務局長 会見

会見メモ

国際移住機関(IOM)のスウィング事務局長が会見し、記者の質問に答えた。
司会 秦野るり子 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)
通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

日本の難民・移民政策の未来は

林田 七恵 (毎日新聞社社会部記者)

「北の(先進国)の人口減と(発展途上の)南の人口余剰という南北格差を鑑みれば、人々の大規模移動は不可避」という国際移住機関(IOM)トップの姿勢に、「いわゆる移民政策を取ることは全く考えていない」(2014年10月31日の衆議院地方創成に関する特別委員会で安倍晋三首相)とする日本政府の方針がいつまで維持できるものか考えさせられた。

 

スウィング氏は、「大規模移住を目先の安全保障上の問題でなく、資本や物の移動と同じようにうまく管理すべき人の(営みの)現実として捉えるべき」と指摘する。

 

では、どう管理するか。記者会見で示された道筋の一つが「社会への統合」だ。

 

スウィング氏は、難民・移民による言語習得や国民と同等の公共サービスの提供、地域社会の理解によって社会への統合は可能だと提言。社会に貢献する難民・移民を養成する観点からも、教育や医療を保障し市民権や永住権を付与する意義を強調した。

 

難民・移民を受け入れてきた欧州や米国ですら孤立する難民・移民の包摂が課題として残り、排斥を訴える個人や政党が台頭しているように、統合は一筋縄ではいかない。スウィング氏の提言を実現するには課題もある。ただ、「地球上で10億人が移住し、うち6000万人が強制的に移住させられている」という世界的潮流に日本だけ無縁でいられると考えるのも単純に過ぎるだろう。日本が「現実」とどう向き合うかが問われている。


ゲスト / Guest

  • ウィリアム・レイシー・スウィング / William Lacy Swing

    事務局長 / Director General

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