2015年12月03日 15:00 〜 16:00 10階ホール
神津里季生 連合会長 会見

会見メモ

10月に就任した神津里季生 連合会長が会見し、記者の質問に答えた。
司会 水野裕司 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)


会見リポート

影薄れる連合の現状に危機感

森 一夫 (日本経済新聞出身)

10月に就任した新会長として、存在感が薄れる連合の現状への危機感を率直に示した点が印象的だった。

 

「連合」を一般の人たちがどう見ているのかを問う意識調査の結果を引いて語る。「連合の存在そのものを知らない人が46%いて、かつ20歳代の女性は61%が知らない」と焦燥感をにじませる。

 

厚生労働省調べによる労働組合の推定組織率は17.5%(2014年)まで下がっている。連合に加盟する組合員数は、そのうち7割弱を占めるものの、数では連合が働く人全体を代表するとはとても言えない。

 

当面の課題としてまず挙げたのは、2016年の「春季生活闘争」いわゆる春闘である。これが皮肉にも存在感を低下させる一因になっている。安倍晋三首相が率先して「賃上げ」を経済界に求めているからだ。

 

その結果「連合が目立たないのはとんでもない。(われわれの)春闘を知ってもらわなければならない」と言う。連合が掲げる16年の賃上げ要求基準は、ベースアップが「2%程度」と15年の「2%以上」よりやや控えめだ。

 

傘下の自動車など大手の労働組合は、連合の基準を下回る要求になる見通しである。大手企業の賃金水準は下請けなどより格段に高い。その差は拡大する傾向にある。「親企業や発注元が賃上げするだけでは意味がない。大企業と中小との格差を変えていこうよと言っている」

 

「クラシノソコアゲ応援団」を旗印にするが、具体策は聞けなかった。連合が代表する労働運動自体に制度疲労が見られる。非正規や中小企業での組織化が遅れ、労働組合の組織構造は高度成長期から基本的に変わらない。大手製造業の企業別組合と公務員の組合が主流を占める。神津会長も新日本製鉄(新日鉄住金)出身である。

 

政治への影響力も支持する民主党の不人気も災いして下降線だ。「現実を踏まえて」、結成後26年を経た連合をどう変えるのか注視したい。


ゲスト / Guest

  • 神津里季生 / Rikio Kozu

    日本 / Japan

    連合会長 / President, RENGO(Japanese Trade Union Confederation)

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