会見リポート
2012年07月09日
09:30 〜 10:00
10階ホール
カルザイ アフガニスタン大統領 記者会見
会見メモ
Hamid KARZAI, President, Afghanistan
アフガニスタンの開発計画を議論する国際会議「アフガニスタン東京会合」で来日しているカルザイ大統領が、会議の成果などについて話し、記者の質問に答えた。
司会 日本記者クラブ理事 会田弘継(共同通信)
通訳 長井鞠子、貞森紀子(サイマル・インターナショナル)
アフガニスタン大使館のホームページ
会見リポート
平和実現へ タリバンとの和解が責務
永田 潤 (共同通信外信部)
カルザイ大統領は本当に満足そうだった。記者会見の前日8日に東京で開かれたアフガニスタンの復興に関する国際会議で、国際社会が2015年までに総額160億ドルの支援を実施し、さらにその後も支援を継続することを約束したのだから当然かもしれない。会見の冒頭、カルザイ氏は「アフガン国民の最も深い感謝の念を表明する」と述べた。
しかし来日中のカルザイ氏の表情は特に柔和に見えた。最近、カルザイ政権を支えてきた欧米諸国を訪れる際も、心なしか顔つきは硬い。アフガンでは日本の支援について「同盟国」米国への配慮という側面を抜きにして「無償の愛」のように語られることが多いが、駐留部隊を派遣している欧米からは関与の分だけ注文も増している。
もちろん日本の外務省も全くのお人よしというわけではない。今回の会議では、国際社会が支援を行う代わりに、アフガン側に統治の改善などを約束させるという相互責任の枠組みを作ることに意を尽くした。
ただ、30年以上にわたる戦乱で荒廃した国の立て直しは一朝一夕に実現できないという現実もある。汚職対策などへの決意を問われたカルザイ氏は「拍手には両手が必要だ」と述べ、支援国側の協力も求めた。自分だけでは成果は挙がらないと予防線を張ったようにも聞こえた。
2期目のカルザイ氏の任期も残り2年余り。駐留外国軍の戦闘部隊がほぼ同時期に撤退を完了する。カルザイ氏は反政府武装勢力タリバンとの和解が「今日われわれの最も重要な責務だ」と強調した。アフガンでは「戦いはもうたくさん」という思いが広がる一方で、民族対立などわだかまりを抱える人も多い。困難な課題なのは百も承知だ。それでも「有終の美」を待ち望んでいる。
ゲスト / Guest
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ハーミド・カルザイ / Hamid KARZAI
大統領 / President