会見リポート
2012年02月23日
11:00 〜 12:00
宴会場(9階)
アリ モザンビーク首相 記者会見
会見メモ
会見リポート
アフリカ諸国のモデルとなるか
田中 寛 (共同通信外信部)
アフリカ南部モザンビーク。なじみの薄い国だが、沖合の海底ガス田の天然ガス埋蔵量が世界最大級と確認され、にわかに関心が高まっている。記者会見は、資源が貧困国の持続可能な開発を促すことができるかを問い掛けた。
「(日本とモザンビークの)2国間関係を一層強化する時代に入った」。力強い口調だ。南アフリカの東隣に位置するモザンビークは、1992年まで約17年続いた内戦で国が荒廃したが、近年は海外からの投資が進み、急速に経済成長を遂げている。
昨年11月には、海底ガス田の天然ガス埋蔵量が世界最大級の30兆立方フィート超と判明。東京電力福島第一原発事故を受け、液化天然ガス(LNG)需要が急増する日本でも期待を集めている。
「新しい資源を正しく持続的に利用することは大きなチャレンジだ」。ガス開発をてこに、後発開発途上国(LDC)からの脱却を目指すこの国の思いが伝わってきた。
一方で気になるのは、産油国ナイジェリアやレアメタル(希少金属)の豊富なコンゴ(旧ザイール)など、アフリカでは資源国でむしろ政情不安を抱え、貧富の格差に苦しんでいる現状だ。資源主導の経済成長では利権国家がつくられる傾向があるためで、モザンビークもこうした「資源のわな」にはまるのではとの懸念がよぎる。
だが、それに対する返答は「資源を有効に利用しながら発展することで、他国のモデルになりたい」との自信みなぎる宣言だった。進出企業には、人材育成などを通じて地元に利益を還元するよう促した。
資源という成長への原動力を得たモザンビーク。同じく資源に恵まれながら貧困から抜け出せない他のアフリカ諸国の将来像を描くことができるか、この国の行方が注目される。
ゲスト / Guest
-
アイレス・ボニファシオ・アリ / Aires Bonifacio Ali
首相 / Prime Minister
