2010年04月16日 00:00 〜 00:00
矢田立郎・指定都市市長会会長(神戸市長)「地域深考」3

会見メモ

指定都市市長会(全国19の指定都市で構成)の矢田立郎会長(神戸市長)が、「大都市が鍵を握る地域主権改革」のテーマで話した­。

司会:川戸恵子・日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)


会見リポート

役割にふさわしい新大都市制度を

松本 克夫 (元日本経済新聞論説委員兼編集委員)

昨年秋、神戸市長に三選されたが、今回は政令指定都市市長会会長の立場での登場である。平成の合併により、政令市は19市に増えた。合計人口は2、500万を超え、「経済活動の半分は政令市の都市圏で展開されている」。日本を引っ張る「エンジンの役割を担うのが政令市」というわけだが、救急医療や消防で近隣地域を支える役目もある。その割に十分な権限や財源が与えられていないというのが政令市の不満である。

特に税財源面での不満は強い。「神戸市は地域の活力を高めるために、山の土砂を海に運び、人工島を三つと空港をつくり、企業誘致を進めてきた。しかし、それによる税収増加分の多くが国と県に入り、神戸市には固定資産税とわずかな法人市民税しか入らない」と税制の問題点を指摘する。これでは成長戦略拠点の役割を果たせないというわけだ。現状では、医療や雇用の権限も不十分だし、県との間に二重行政も発生しやすいという。そこで、役割にふさわしい「新たな大都市制度が必要」というのが政令市長会の主張である。

鳩山政権が進める「地域主権戦略」は政令市の期待に沿うものだろうか。その目玉政策の一つはひも付き補助金の一括交付金化だが、政令市の評価は高くない。「国から地方への税源移譲までの経過措置であり、地方が担う分野の補助金は全額税源移譲すべきだ」と注文を付ける。

自民党が推進していた道州制は政権交代により小休止の格好だが、「関西では、道州制の前段階として、広域連合に向けて走り出した」。防災や観光など共同で取り組みやすいものから始める。気になるのは、道州制に伴う大都市分割論。「大きく固まっているからこそ人材が集まり、集積効果を生む。道州制になったら、大都市を30万人規模に分解してもいいとはならない」と一蹴した。

ゲスト / Guest

  • 矢田立郎 / Tatsuo YADA

    指定都市市長会会長(神戸市長) / Chairman of specified city mayor association(head of Kobe City)

研究テーマ:地域深考

研究会回数:3

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