会見リポート
2009年02月06日
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アピシット・ウェチャチワ・タイ首相
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会見リポート
政情回復へ─苦渋の貴公子
後藤 卓彦 (日本経済新聞国際本部アジア担当部長)
タイの政情に対するイメージは2006年9月のクーデターを経て、昨年11月の反タクシン派による国際空港占拠・閉鎖でさらに悪化した。首相就任からわずか2カ月弱で最大の投資国、貿易相手である日本を訪れたのも、対外的な信頼回復を急いだからにほかならない。
アピシット首相は会見で、景気対策と並ぶ課題として「政情の回復」を挙げた。来日直前に発表した景気刺激策は低所得者層などへの給付金なども含まれ、「バラマキ」との批判も一部からは出ている。とはいえ国内分裂の底流に深刻な所得格差があったことを考えると、民主党政権も、従来からの支持基盤である都市住民、中産層だけでなく農民や低所得者層を取り込むことで国内融和を図る必要があることは理解できる。問題はタクシン政権時代とくらべ景気が悪化しているだけに分配する「パイ」の大きさも限られることだ。
会見では「20年の政治キャリア」を何度も強調。老獪なタクシン派の面々へのライバル心もうかがわせた。だが前首相が解任されたのは親タクシン派の「国民の力」党が選挙違反による解党処分を受けたためで、まだ首相として選挙の洗礼を受けていない。
総選挙を実施するためにも国内融和と安定が必要だ。経済対策が早期に効果を表すことがその前提となるが、世界的景気後退という足かせがあるだけに、楽観はできない。
ゲスト / Guest
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アピシット・ウェチャチワ / Abhisit Vejjajiva
首相 / Prime Minister