会見リポート
2008年12月10日
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斉藤惇・東京証券取引所社長
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会見リポート
市場経済を否定するな
大鹿 靖明 (朝日新聞出向社員(アエラ記者))
このように平易な言葉で語る斉藤氏の解説を、「フムフム」と受け止める向きは多いだろう。そもそも、豪勢に遊んでいたキリギリスを、額に汗してきた私たち働きアリが笑う番である。今回の米国発の金融危機に、そう溜飲を下げる人は多いに違いない。最近のマスコミ論調もそうした風潮を反映して、米国型金融資本主義や市場万能経済の崩壊をはやし立てるものが目につく。
ところが、市場の元締めである斉藤氏は、極端へふれがちな流れに棹を差すことを忘れない。しなければならないことは「行き過ぎ」を是正すべきであって、人為的に市場を管理すべきではないという。
「ヒトラーもスターリンも毛沢東もみんな失敗しました。人為的に価格を統制してもうまくゆきません。いろいろと欠点はあるが、金融資本主義が崩壊するとは思えません」
金融工学も証券化も、そのもの自体が悪いのではない。要は、その使い方に問題があった、と見る。
「まさか、いまからマルクスに戻る人はいないでしょう。市場主義経済を否定すべきではありません」
野村証券で市場と向き合い、産業再生機構では企業再生にかかわってきた。経験に裏打ちされた言葉には説得力がある。格差解消を御旗に市場経済への批判を強める大手メディアもあるが、問われるべきはその定見のなさや浅薄さだろう。
ゲスト / Guest
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斉藤惇 / Atsushi Saito
東京証券取引所社長 / President & CEO , Tokyo Stock Exchange Group, Inc.
研究テーマ:金融危機