2008年10月17日 00:00 〜 00:00
デイビット・ウォレン・駐日イギリス大使

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会見リポート

日本に国際的指導力を期待

蔭山 実 (産経新聞外信部次長)

日本の夏も暑くなった…。着任した7月なら、そんな話から始まっていたかもしれない。だが、金融危機でいまや世界中が〝熱く〟なってしまった。金融の拠点、ロンドンのシティを抱える英国の代表となると発言に注目が集まるのも当然だろう。

「世界経済は混迷している。吊り上げ橋を上げて外界から守るべきだという人がいるが、それはわれわれの選択肢であるべきではない」。ロンドンの繁栄を支えてきたテムズ川の橋を思わせる言葉から、現代の課題への対応を日本語で語った。

「国際的な行動が必要だ。世界は相互依存の時代に入った。それゆえにどの国も責任を伴う。日英関係の最大の変化は、日本だけの解決策だけに取り組むことができなくなったことだ」。成熟した日英関係にあって日本の態度を考えさせる指摘だ。

日英修好通商条約締結で日英外交が樹立されて今年で150年。その話題をもっと取り上げたかっただろうが、グローバル化が進む国際情勢と日英関係も無縁ではない。日本が国連安全保障理事会の常任理事国入りを果たすうえでも日本に国際的な議論での一層の指導力を期待した。

国際金融体制では、①各機関の役割の再定義②共通業務の整理と各機関の協力強化③市民社会も含めた問題解決─の3点から現代に即した見直しを提唱した。米大統領選で保護主義的といわれる民主党の優勢が伝えられ、英国の立場に関心は向くが、規制と緩和の均衡を図り自由主義を堅持することが肝要だと譲らなかった。

「融資の流れ、金融の〝血流〟を速やかに機能させたいのだ」とは、銀行への資本注入が国有化につながるとの指摘への反論だ。英文学を専攻し、演劇に詳しいというだけに、英国の文豪、シェークスピア作品を思わせるような表現と受け取れた。

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  • デイビッド・ウォレン / David Warren

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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