2008年03月28日 00:00 〜 00:00
デビット・ガートナー・世界エイズ連合上級顧問「HIV/エイズ」29

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会見リポート

保健への投資はチャリティではない

宮田 一雄 (産経新聞編集局編集委員)

米国ワシントン市に本部を置く世界エイズ連合(GAA)は途上国のエイズ対策への支援を求めて活動するNGOだという。会見では、エイズだけでなく、広く世界の感染症の流行の現状を報告し、「人類は未曾有の時代に直面している。新興感染症の流行は、地球の裏側で起こったとしても、直ちに世界共通の緊急事態になる」と警告した。

たとえば、東南アジアで鳥インフルエンザのウイルスが人への強い感染力を持つ新型のウイルスに変わった場合どうなるのか。現行の治療薬がまったく効かない多剤耐性結核菌がアフリカの南部で急激に拡大した場合はどうか。現時点ではあくまで仮定の話だが、あり得ない仮定ではない。世界の感染症の専門家が、いつ起きても不思議ではないと懸念する事態である。「いずれも数日で世界の脅威になるでしょう」とガートナー氏は語った。

そうした中でいま、すべての人が共通の課題としてとらえなければならないのが、エイズ、結核、マラリアの3大感染症だという。それぞれ途上国を中心に感染が広がり、あわせると年間600万もの人が亡くなっている。そのために国の基盤を支える教育や産業まで崩壊の危機にさらされている国も少なくない。

しかも、この600万の死は、各国と国際社会がその気になれば防ぐことのできる死であり、その対策が同時に、新型インフルエンザなど未知の新興感染症に備え、有効な対応がとれるよう各国の保健基盤を整えることにもなる。いわばグローバルヘルス(国際保健)の充実に資するかたちにもなるのだ。ガートナー氏は7月の北海道洞爺湖サミットにも言及し、国際保健を重要課題に位置づけることを歓迎し、「保健への投資はチャリティではない。先進国にとって自国の市民を守るためにも重要だ」と語った。

ゲスト / Guest

  • デビッド・ガートナー / David Gardner

    世界エイズ連合 / AIDS Coalition

    上級顧問 / Senior Adviser

研究テーマ:HIV/エイズ

研究会回数:29

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