2006年10月17日 00:00 〜 00:00
山本直樹・国立感染症研究所エイズ研究センター長「HIV/エイズ」23

会見リポート

ウイルスはサッカーボール

宮田 一雄 (産経新聞編集長)

朴訥な口調で難解なウイルス遺伝子の解説などが続くと、こらえ性のない記者はついウトウトしてしまう。しょうがないですねえ、と司会者が思い始めたころ、著名なウイルス学者は何食わぬ顔でこんな話を挟み込む。

エイズの原因となるHIV(ヒト免疫ウイルス)の大きさは直径110ナノ・メートル。人間の体を地球大に拡大して比較すると、HIVはサッカーボール程度になる。

「エイズというのはサッカーボールが地球をやっつけているような状態です」

あれ?この人、けっこう面白い人なのかもしれない。ずいぶん壮大な比喩だが、ウイルスの小ささはリアルに迫ってくる。

カナダのトロントでは8月に第16回国際エイズ会議が開かれ、医学研究の分野で注目されたのが治療から予防へのシフトだったという。

地球上には推定3860万人ものHIV陽性者がいて、この人たちすべてに必要な治療を提供するのは現状でも至難の業だ。これ以上、感染が拡大すればどうなるか。そこで、「病気になってから治療するより防ぎましょう」と予防の必要性がこれまでになく重視された。

ただし、そのための最大の武器となる予防ワクチンに関しては「この先、10年は難しいという見方が大勢を占めた」という。この苦難の10年を持ちこたえるにはどうしたらいいか。会議では、男性に頼らず女性が自ら選択できる感染防止策から、男性の割礼手術の予防効果までさまざまな手段が議論されたという。

山本さんは11月30日から12月2日まで東京で開かれる第20回日本エイズ学会のプログラム委員長でもある。人間を地球大に拡大することで、山本マジックは難解な基礎研究を一気に等身大に近づけて見せた。エイズ学会も楽しみだ。

ゲスト / Guest

  • 山本直樹 / Naoki YAMAMOTO

    日本 / Japan

    国立感染症研究所エイズ研究センター長 / National Institute Of Infectious Diseases

研究テーマ:HIV/エイズ

研究会回数:23

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