2006年06月27日 00:00 〜 00:00
三極委員会「ロシアへの提言」

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会見リポート

矛盾にみち適正な評価は困難

石郷岡 建 (毎日新聞出身)

チャーチル英首相は、ロシアについて、「謎の、そのまた謎の謎」と言った。これに対し、ロシア国内では「ロシアは頭で理解はできぬ。ただ信じるのみ」という有名な言葉がある。いずれにせよ、ロシアは昔から謎と矛盾に満ちた国であり、その取り扱いには苦労する。

日米欧の 「三極委員会」 は今年の共同研究に、このロシアをとりあげ、「ロシアとのかかわり合い:これからの局面」と題する報告書を発表した。 日本から研究に加わった渡辺幸治・元ロシア大使によれば、キッシンジャー元米国務長官は 「近来にないベストの報告書」と賞賛したという。

その報告書の冒頭に現れるのが「現在のロシアは矛盾にみち、適正な評価は著しく困難」という言葉だ。ロシアは過去6年政治安定を享受し、目覚しい経済発展を遂げたが、将来については不明瞭。ロシアは歴史上かつてない自由を謳歌しているが、その一方で国家による支配が進む。G8の議長国になりながら、西側との関係緊密化は進まない。それでも、報告書は「ロシアの置かれたユニークな状況を理解し、辛抱強く、かかわり合いを維持すべき」と結論付けた。

これに対し、下斗米伸夫教授は7点にわたり、詳細なコメントを行った。全部を紹介できないのが残念だが、「西側から見たロシア観」に対する「ロシア内部から見たロシア観」による対比だったといえる。全体を聞いて思うことは、ロシアも前途多難だが、三極委員会の将来も容易ではないとの感想だった。日米欧に対抗するように中露印という「新三極」が勃興しつつあり、世界は激動期に入りつつあるとの予感なのかもしれない。

ゲスト / Guest

  • 渡辺幸治 / Koji Watanabe

    元ロシア大使 / Former Ambassador to Russia

  • 山本正 / Tadashi Yamamoto

    日本国際交流センター理事長 / Board Chairman of Japan Center for International Exchange

  • 下斗米伸夫 / Nobuo Shimotomai

    法政大教授 / Professor of Hosei University

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