2003年11月07日 00:00 〜 00:00
中曽根康弘・元首相

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会見リポート

外野席からの〝味付け〟

小林 静雄 (産経新聞デジタルメディア局長)

自民党の比例代表への定年制導入によって議員引退を余儀なくされた中曽根元首相の登場。戦後政治史のエピソードの一つでも聴ければと思って会場に出向いたのだが、その期待は見事に裏切られた。

「モーニングを脱いでカジュアルウェアで来ました。最近『この酒も味わい新た職を辞す』という俳句をよみました」

枯れたと思わせる切り出しだったが、「小泉総理の政治手法は瞬間タッチ断言型」と評してみせ、「国家像や諸般の政策の体系をつくるには思想・哲学が必要だが、小泉総理にはそういう根深いものはない」と断じるなど苦言のオンパレード。

その後もメモを見ながら、憲法改正、北朝鮮問題、教育、政界再編、さらには中東和平やイラク復興支援など幅広いテーマについてとうとうと持説を披歴した。

そ のところどころでは「米百俵といっていたのに教育はどこに行ったのか?」「外交には合格点をつけられるが、基本的な何かが足りない」とチクリチクリ。「私 は大統領的首相として(政治を)やったが、議会はそれだけでは通らないから議院内閣的首相として党の力も借りた。しかし、小泉君の場合は大統領的手法だ け。これで道路公団改革や郵政民営化が(国会を)通るのか」とも。

会見を通じ、首相の指南役を自任している様子がありありだっただけに、今後の中曽根氏の外野席からの発言が政治に多少は面白い味付けをしてくれそうな予感がした会見だった。

ゲスト / Guest

  • 中曽根康弘 / Yasuhiro Nakasone

    日本 / Japan

    元首相 / Former Prime Minister

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