2005年02月17日 00:00 〜 00:00
岸本忠三・第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議組織委員会会長/樽井正義・同委員会事務局次長「HIV/エイズ」20

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会見リポート

神戸・エイズ国際会議の意義

前野 一雄 (読売新聞医療情報部長)

エイズが「現代の黒死病(ペスト)」と恐れられたのは、たかだか20年前。いまだ根治はできないまでも、その後、各種新薬の開発で、かなりコントロールできるようになってきた。このためか、国内ではまるで「過去の病気」のように社会的関心も薄らぎつつある。

しかし、今や全世界のHIV感染者は4000万人、年間死者300万人。「病気で死ぬにしても、がんは中高年が大半。しかしエイズは若者や子どもといった生殖年齢前の世代を襲う人類史上大きな問題」と免疫学者の岸本氏(写真右)。サハラ以南のアフリカでは、国家存亡の危機に陥っている国もある。

近年の国際的視点は世界人口の6割を抱えたアジアへの流行をいかに抑えるかに移っている。「アジアではエイズで年間100万人が死亡しており、インド洋の巨大津波が年に5つ襲来しているのと同じ。患者の90%は途上国にいるのに、治療が受けられるのは先進国のみ」と倫理学者の樽井氏(同左)はエイズにおける南北問題の要素を指摘する。実際、東アジアの感染者数は過去2年間に2・5倍に急増。とりわけ中国では2010年までに1000万人に達するとの推計も出されている。

会議はエイズ関連の学会に止まらず行政、国際機関、NGO、NPO、企業など60カ国から3000人が結集して、タイトルに掲げた「科学とコミュニティの英知の結合」を目指す。先進国で唯一、感染の歯止めがかからないニッポンで、国民の関心を高めるメディアの使命も問われている。

ゲスト / Guest

  • 岸本忠三 / Tadamitsu Kishimoto

    第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議組織委員会会長

  • 樽井正義 / Masayoshi Tarui

    同委員会事務局次長

研究テーマ:HIV/エイズ

研究会回数:20

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