会見リポート
2026年01月27日
14:00 〜 15:30
9階会見場
「ベネズエラ:マドゥロ拘束劇の背景と今後の展望」坂口安紀・アジア経済研究所主任研究員
会見メモ
米軍によるベネズエラのマドゥロ氏拘束の背景と今後の展望について、ベネズエラ研究の第一人者で、チャベス大統領就任以降、権威主義に陥り経済が破綻に向かう軌跡を描いた『ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済』(中央公論新社 2021年)を著した坂口安紀さんが話した。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
会見リポート
体制の変革 容易ではない
藤木 祥平 (産経新聞社外信部)
米国のベネズエラ攻撃とマドゥロ大統領拘束は、日本でも驚きをもって報じられた。ベネズエラでは今、何が起こっているのか―。アジア経済研究所の坂口安紀主任研究員が、民主化闘争の歴史や見通しを交え解説した。
昨秋以降、「麻薬運搬船」と断定した船に繰り返し攻撃を行ってきたトランプ米政権。1月の攻撃も「麻薬対策」を大義に掲げるものと思われたが、その後に持ち出したロジックは、19世紀の「モンロー主義」を発展させた「ドンロー主義」や、ベネズエラ産石油権益の獲得だった。
坂口氏が指摘する米側の言説の変遷は、情勢を占う上でも着目すべき点だ。トランプ米大統領は1期目時代、マドゥロ氏の大統領としての正当性に疑義を呈し、民主化に向けた運動の後押しをしていたにもかかわらず、2期目就任以降は民主化を促す主張は影を潜めた。暫定大統領に就任したのも、本来正当性がないはずのマドゥロ政権下にいたロドリゲス副大統領だった。
米国がロドリゲス氏をパートナーに選んだ理由について坂口氏は、交渉を円滑に進めるための「有用性」を挙げた。しかし、ロドリゲス氏側は「米政権の意向に沿いながらチャベス派体制延命を模索している」と指摘。同氏らマドゥロ体制幹部が政権に居座る状況では、民主化は「ありえない」との見方を示した。
米政権がベネズエラに対し今後いかなるアクションを取るかは未知数だ。昨年ノーベル平和賞を受賞した野党指導者マリア・コリナ・マチャド氏ら野党側キーパーソンがどう関わっていくかにも注目する必要がある。
会見では、国民の大多数が反政府派を支持しているとする世論調査の結果が示された。それでもベネズエラでは長年、政府の弾圧や選挙不正に阻まれ民主化が果たされなかった残酷な現実がある。いずれにせよ体制変革が容易でないことは確かだ。
ゲスト / Guest
-
坂口安紀 / Aki SAKAGUCHI
アジア経済研究所 地域研究センター アフリカ・ラテンアメリカ研究グループ・主任研究員 / Senior Research Fellow, African and Latin American Studies Group, Area Studies Center The Institute of Developing Economies
研究テーマ:ベネズエラ:マドゥロ拘束劇の背景と今後の展望
