2025年01月15日 14:30 〜 15:30 10階ホール
加藤勝信財務相 会見 

会見メモ

第2次石破内閣で財務大臣に再任された。「デフレ脱却に向けて」と題して登壇し、総合経済政策、令和7年度予算、税制改正のポイントなどについて説明するとともに、質疑に応じた。

 

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)


会見リポート

重責担い、脱皮できるか

山崎 崇史 (読売新聞社経済部)

 日本記者クラブを訪れるのは2024年9月の自民党総裁選の候補者討論会以来となる。討論会は候補者9人が並んだが、今回の会見は「ピンでやる」と切り出し、重責を背負う覚悟を感じさせた。

 石破政権で財政政策やデフレ脱却などの重要政策を担当する加藤氏は、近年の経済環境について「賃金よりも明らかに物価上昇の方が大きい。生活は苦しくなった」と率直に認めた。その上で「成長型経済」という言葉を3度も使い、労務費の価格転嫁や教職員、保育士らの処遇改善、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)を活用した金融所得の増加など、あらゆる政策を総動員して所得向上に取り組む姿勢を強調した。

 質疑では、財政健全化を巡る質問が相次いだ。25年度予算案では公債金による歳入が28兆円台と、17年ぶりに30兆円を下回った。だが、依然として歳入の4分の1を国債に頼る構造が続き、国債残高は1000兆円を超えている。加藤氏は「経済をしっかりさせることが財政健全化につながる」と説明したが、財政再建に向けた有効策が示されたとの印象は与えられなかったのではないか。

 自民、公明両党は衆院で少数与党となり、野党の協力を得られなければ25年度予算案を通過させることはできない。衆院予算委員会の委員長は野党議員が務めており、1月24日に開会する通常国会での予算審議は政権にとっても加藤氏にとっても、大きな試練となりそうだ。

 首相への意欲を問う質問に加藤氏は「高みを目指す思いは変わらない」と述べる一方、「財務相の仕事をしっかりやる」と石破首相を支える方針も明言した。安定した答弁能力は誰もが認める強みではあるが、少数与党が直面する難局を突破し、日本のリーダーにふさわしい政治家となるには、「脱皮」も必要ではないか。巳年の動向に注目したい。


ゲスト / Guest

  • 加藤勝信 / Katsunobu KATO

    財務相 / Minister of Finance

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