2025年01月22日 14:00 〜 15:00 10階ホール
神田眞人前財務官 会見

会見メモ

神田眞人・前財務官が「歴史的岐路に直面する人類社会」と題して会見した。

神田さんは2月24日に、第11代アジア開発銀行(ADB)総裁に就任する。

 

司会 石原淳子 日本記者クラブ企画委員(テレビ東京)


会見リポート

労働の流動化 新陳代謝を

山下 貴史 (毎日新聞社経済部)

 米国のトランプ大統領が就任した直後ということもあり、「令和のミスター円」とも呼ばれる神田氏の発言に注目が集まった。

 「非常に不確実性が高い。だからこそよく見なきゃいかん」

 一つは関税政策だ。「どういう目的、タイミングで、どういう関税率でやるのか」。神田氏はトランプ政権が国内向けに減税をしながら輸入品の関税を上げ、不法移民の国外退去を進めた場合、「当然インフレになる」との見通しを示した。一方で、「トランプ氏はバイデン前大統領よりももっとしっかりインフレを抑えると言っている」と指摘。「諸外国の選挙を見るとインフレにより普通の人たちの生活が困難になったことが与党の敗北につながっている。2年後の米中間選挙を控えインフレを放置する訳がない」と述べ、「おのずと合理的な政策に収斂することも考えられる」との見方も示した。

 では、日本は米国にどう向き合うべきか。神田氏は自分たちの今の状況をしっかりと理解し、国際社会で経済力を持つべきだとした。

 為替の実力ともいえる実質実効為替レートは1995年と比べ3分の1になった。もし円の価値を中長期的に維持したいなら何をすべきか。神田氏は昨年7月の財務官退任直前に公表した私的懇談会の報告書「国際収支から見た日本経済の課題と処方箋」に触れながら、労働市場の流動化や新陳代謝の促進などを通じた生産性向上の必要性を説いた。

 神田氏は2月24日にアジア開発銀行(ADB)総裁に就任する。

 「インフレになり米連邦準備制度理事会(FRB)が金利を上げた時に過去にはかなりの確率で金融危機になった。また上がるのかと不安を持つ人たちは少なくない」と述べ、「一番大事なのはショックに備えて自分たちの経済をより強靱なものにすること。その手伝いをADBがしっかりとやっていく」と力強く宣言した。


ゲスト / Guest

  • 神田眞人 / Masato KANDA

    前財務官

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