2024年08月09日 16:30 〜 18:00 10階ホール
「自治体消滅にあらがう」(2) 増田寛也・日本郵政社長、人口戦略会議副議長

会見メモ

「全国896の地方自治体が消滅する可能性」を指摘した、いわゆる「増田リポート」(日本創成会議)から10年。民間の有識者グループ「人口戦略会議」は1月に人口減少対策についての提言「人口ビジョン2100」を、5月に「消滅可能性都市」の分析結果を発表した。

副議長を務めた増田寛也・日本郵政社長・元総務相が「人口ビジョン2100と過去の地方創生について 」をテーマに登壇。人口減少対応策として①自然減少抑制策②社会減少抑制策③縮小社会適応策――の3点を挙げ、この間の政策と現状、求められる政策について話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)


会見リポート

縮小社会対応には広域連携

土井 はるか (時事通信社内政部)

 日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)が896自治体の消滅可能性を指摘した「増田リポート」から10年となる今年、有識者らでつくる「人口戦略会議」は、2050年までに744自治体で若年女性が半減し、消滅可能性があるとの分析を公表した。副議長を務めた増田氏は会見で、「東京を含めて全ての自治体や国が考えていかなければいけないのは縮小社会適応策だ」と呼び掛け、若年世代へのアプローチや自治体間の広域連携の必要性を訴えた。

 人口減少対策では、自然減抑制策として若年世代の所得向上や雇用改善をはじめとした少子化対策に言及。経済的な事情で子どもを持てない人を中心に、政府が少子化対策の予算増額について説明していく必要性に触れた。社会減対策では、女性の東京圏への転入超過を指摘。希望する仕事や教育を求めて地方から転出するケースが多いことを踏まえ、「転出超過を食い止めるには、呼び込みや、ふるさとに戻ってくるような働き掛けが勝負になる」。災害や感染症といったリスクの観点からも「東京一極集中は国として是正していくべきだ」と強調した。

 会見の中で興味深かったのは、都道府県別の経済的豊かさについてだ。東京都の可処分所得は全世帯平均で全国3位に入るが、中央世帯平均では12位に。さらに、可処分所得と基礎支出(食費や家賃など)との差額は42位に下がる。こうしたデータも踏まえた生活圏を「若い人たちに考えてもらうことが必要ではないか」と語った。

 最後に、縮小社会に適応していく上で、「自治体ごとで考えるより、圏域ごとに大くくりで生活を支えることが必要だ」と主張。市町村の枠にとらわれず、人口10万人程度以上の単位で生活機能を維持する「地域生活圏」を例示し、「団体戦のような形で地域を守ることを考えてほしい」と、広域連携を促した。


ゲスト / Guest

  • 増田寛也 / Hiroya MASUDA

    日本郵政社長 / President & CEO,Japan Post Holdings Co., Ltd

研究テーマ:自治体消滅にあらがう

研究会回数:2

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