2023年10月20日 13:30 〜 14:30 10階ホール
ビルマ作戦協会会長、旧英軍兵士ら 会見

会見メモ

第2次世界大戦で戦った日英の相互理解と和解を進める英国の「ビルマ作戦協会」のマクドナルド昭子会長と、インパール作戦で日本軍と戦った旧英国軍兵士のリチャード・デイさんら4人が会見した。

7日から21日の日程で来日。千鳥ヶ淵戦没者墓苑や横浜の英連邦戦死者墓地での合同慰霊祭に参加した。戦後75年の節目に合わせ2020年に来日予定だったが新型コロナの影響で延期していた。

 

司会 乾正人 日本記者クラブ企画委員(産経新聞社)

通訳 池田薫 サイマル・インターナショナル

 

※写真左からポール・コーデンさん、リチャード・デイさん、マクドナルド・昭子さん、ジェームス・ボーグルさん


会見リポート

「日本を憎む気持ちはない」

岡部 伸 (産経新聞社論説委員)

 晴れ上がった青空のように進展する日英関係に、一点だけ垂れ込める雲がある。先の大戦で、日本軍の捕虜となった元英軍兵士が、その処遇を恨み、補償と謝罪を求める問題だ。

 「相互理解」の見地から日英和解に取り組む英国の民間団体「ビルマ作戦協会」の企画で退役軍人らと来日したのがインド北部「インパール作戦」のコヒマで日本軍と戦った元英軍兵士のリチャード・デイさん(97)だ。記者会見では、「日本を敵視し、憎む気持ちはなくなった」と繰り返した。

 約2週間の滞在では、千鳥ヶ淵戦没者墓苑など合同慰霊祭に参列し、終戦後、駐留した京都府や広島市を訪問した。山形県庄内町では、コヒマで干戈を交えた104歳の元日本軍兵士と面会し、握手を交わした。

 友好的な日本人に接し、「戦後、育んで来た(日英の)友好関係をずっと続けていきたい」と強調した。

 千鳥ヶ淵戦没者墓苑には、日英に加えて米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドとオランダの駐日大使や武官が参加し、初の国際合同慰霊祭となった。

 「価値観を共有する『ファイブアイズ』諸国とオランダが『日本の仲間』と参加してくれ、感動した」(同協会のマクドナルド昭子会長)。

 デイさんに同行したポール・コーデン英陸軍中佐は解説した。「日英が中心に西側同志国の連帯を示し、中露朝の新たな脅威に対抗したい」

 中国、ロシア、北朝鮮と三方面を核保有国に囲まれた日本は、戦後最悪の安保環境にある。和解でも「ファイブアイズ」などの同志国と多国間連携していることを発信した。

 広島と長崎を訪れたジェームズ・ボーグル元英陸軍大佐で英法定弁護士は、「民間人を狙った原爆投下は行うべきでなかった」と述べた。

 原爆投下を否定する発言は日本への謝罪に感じた。片方のみならず双方が謝罪して初めて真の和解となる。日英で唯一の暗雲が晴れることを祈りたい。


ゲスト / Guest

  • リチャード・デイ / Richard Day

    元英国軍兵士

  • マクドナルド・昭子 / Akiko Macdonald

    ビルマ作戦協会会長

  • ポール・コーデン / Paul Corden

    英国陸軍中佐

  • ジェームス・ボーグル / James Bogle

    元英国陸軍大佐、英国法定弁護士

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