会見リポート
2016年05月16日
15:00 〜 16:00
10階ホール
井山裕太 囲碁七冠
会見メモ
囲碁史上初めての七冠独占を達成した井山裕太棋士が会見し、記者の質問に答えた。
司会 橋本五郎 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)
会見リポート
人工知能「新たな囲碁の考え方示した」
金沢 盛栄 (毎日新聞社編集委員)
囲碁界初の7冠同時制覇を達成した井山裕太九段が、世界戦へかける思い、人工知能(AI)ソフトなどについて語った。
最初の自己紹介で「究極の目標が達成できて、いまだに信じられない。ただ、棋士としてはまだまだ未熟。さらに精進して、囲碁界を盛り上げたい」とあいさつ。
司会者とのトークに入り、中国、韓国がリードする国際囲碁界について問われると、「中国は毎日のようにトップ棋士が共同研究しているが、日本ではなかなか難しい。中国は国内より世界戦に向けて力を注いでいる点もある」と分析。「今の状況では出場もままならず悔しい」と力を込めた。
韓国の世界トップ棋士を負かした人工知能については、「ソフトは答えが出るところは強く、大局観や感覚的な部分で人間にかなわないと思っていたが、違った。むしろ、人間的に答えが分からない場面で感心した。新たな囲碁の考え方を示してくれたかもしれない」と高く評価した。
26歳という若さなのに、いつものように、流れるような受け答え。誰に取材しても悪評を聞いたことがない。どこまでも人格者なのだ。質疑応答に入り、「欠点はないのですか」と意地悪な質問を投げかけると、「自分の中では、挙げればきりがない。対局で言うと……」とやはり優等生的な答えが返ってきた。
お隣の将棋界では羽生善治前名人が20年前に7冠を達成している。「20年たった今もトップでいることに尊敬の思いしかない。全盛期の強さより、強さがいかに長く続くかがより重要。私もそうありたい」と羽生前名人をたたえた。
会見時(5・16)は、本因坊戦七番勝負の防衛戦真っ最中。帰り道、「今日で、取材関係はほぼ一段落。明日からは対局に集中です」と笑顔で語っていたのが印象的だった。
ゲスト / Guest
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井山裕太 / Yuta Iyama
日本 / Japan
囲碁七冠 / Professional Go Player (holder of 7 titles)