2015年06月15日 15:00 〜 16:30 10階ホール
小林節 慶応大学名誉教授、長谷部恭男 早稲田大学法学学術院教授 「憲法と安保法制」①

会見メモ

集団的自衛権の行使容認を含む安全保障関連法案について、憲法学者の小林節、長谷部恭男両教授が話し、記者の質問に答えた。
司会 星浩 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)


会見リポート

「専守防衛が日本を守る」小林氏 「砂川判決根拠はおかしい」長谷部氏

大林 主一 (中日新聞社相談役)

衆院で審議中の安保法案は違憲か。6月4日の憲法審査会で、与党の自民、公明両党と次世代推薦の参考人、長谷部恭男・早稲田大学法学部学術院教授(左)が「違憲」と言い切った。その長谷部氏と、民主党推薦で、同じく「違憲」と明言した参考人、小林節・慶応大学名誉教授(右)が、クラブゲストで会見する。プレスセンター10階ホールの会見場は会員であふれた。両教授は直前行われた、日本外国特派員協会の会見場から駆けつけるという会見のハシゴだった。

 

長谷部氏は冒頭、「前の会見で名刺を使い切り、もうありません」と「時の人」ぶり。「6月4日は、何党の推薦とは書いてなかった。私は、正しいことを言うだけで、自分の発言について気にしない」

 

砂川判決を持ちだしての政府の反論にも「あれは日米安保の合憲性を問うたもので、集団的自衛権行使容認の結論を導き出すものではない」とぶれない。「ワラにもすがりたいというのだろうが、しょせんワラはワラ」とばっさり。学者は安全保障では素人という批判にも「私は、オックスフォードの比較憲法ハンドブックの戦争権限の項を執筆した。それでも素人か」。違憲である安保法案の撤回を迫った。

 

小林氏は、もっと激しい。「安保法案は法的、政治的、経済的にも愚策である」と断じ、「米軍の二軍になって米軍と世界展開すれば日本の防衛は手薄になる」「日本の能力で専守防衛に徹すれば日本は安全である」と集団的自衛権行使容認をたしなめた。

 

ただ小林、長谷部両氏とも、憲法学者として「自衛隊違憲論」をとらないことを明かした。そして二人とも「参考人として、与党の政治家に都合のよいことを言えば専門家・学識経験者としてもてはやされ、反対意見を言えば素人だと侮蔑される」と政治家のいい加減さを皮肉った。


ゲスト / Guest

  • 小林節 慶応大学名誉教授、長谷部恭男 早稲田大学法学学術院教授 / Setsu Kobayashi, professor emeritus, Keio University / Yasuo Hasebe, professor, Waseda University

研究テーマ:憲法と安保法制

研究会回数:1

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