会見リポート
2015年02月17日
14:00 〜 15:30
宴会場(9階)
田原牧 中日新聞・東京新聞記者 著者と語る『ジャスミンの残り香─「アラブの春」が変えたもの』
会見メモ
元カイロ特派員の田原さんが「アラブの春」から3年にわたる中近東の変化を追い、第12回開高健ノンフィクション賞受賞を受賞した著書について話し、記者の質問に答えた。
司会 川村晃司 日本記者クラブ企画委員(テレビ朝日)
会見リポート
人が壊れない方向性を求めて 米国はシリア・アサド政権とも連携を
川村 晃司 (企画委員 テレビ朝日コメンテーター)
ジャスミン革命と呼ばれた一連のアラブの春がもたらしたものは何だったのか。中東最大の都市エジプトの首都・カイロにあるタハリール広場を留学時代、中東特派員、そしてムバラク体制崩壊から現在まで約30年間、現場が語りかける事実とアラブ民衆の肉声と向き合ってきた著者の会見は、開高健ノンフィクション賞受賞にふさわしく冒険的でスリリングなものであった。
日本人人質2人が殺害された過激派組織IS(イスラム国)の問題は、アラブの春の現在進行形の一局面との見方を示し「アラブの春はイスラムの春ではなかった。閉塞状況の中で国が壊れてゆく、人が壊れて正気を失ってゆく時代。ISには人間関係を作り直そうという考えはなく、ネット世界の無敵の人現象と相まって、生身の人間に教義を貼り付けている」と分析。今後は?との問いには、現状はISを制圧しようにも米国も含め関係国が8人で麻雀をやっているために、牌が不足して勝負がつかないとの例を引き、「自国の安全保障上、イスラエルはシリアのアサド政権容認の立場だ。次は、米国がアサド政権打倒の姿勢を修正しない限りIS制圧は難しい」との持論を述べた。
ゲスト / Guest
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田原牧 / Maki Tahara
日本 / Japan
中日新聞・東京新聞記者 / reporter, former Cairo correspondent, the Chunichi Shimbun and the Tokyo Shimbun
研究テーマ:ジャスミンの残り香─「アラブの春」が変えたもの