2012年04月20日 13:00 〜 14:15 10階ホール
ストラウブ 元米国務省朝鮮部長を囲む会

会見メモ

元米国務省朝鮮部長で、現在はスタンフォード大学韓国研究プログラム副ディレクターのデービット・ストラウブ氏が、金正恩体制下の北朝鮮と東アジアの安全保障問題などについて話し、記者の質問に答えた。


司会 日本記者クラブ理事 会田弘継(共同通信)

通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル)


スタンフォード大学のストラウブ氏のページ

http://ksp.stanford.edu/people/davidstraub/


会見リポート

核・ミサイル開発は長期戦略

出石 直 (NHK解説委員)

在韓米国大使館の政務担当公使や米国務省の朝鮮部長として12年あまりにわたって朝鮮半島に関わり続けてきたベテラン外交官の目に、今の北朝鮮はどのように映っているのだろうか。金正恩氏が正式に最高指導者に就任し新しい体制がスタートした直後の、まさに絶妙のタイミングでの会見となった。


「米朝合意がわずか3週間足らずで破棄されるなど、以前より悪くなっているようにも思える。挑発行為のペースは明らかに速くなってきている」と最近の北朝鮮の動きに懸念を示す。


北朝鮮のいう“人工衛星”の打ち上げ失敗については「大失態」としながらも「1回くらいの失敗で正恩氏のリーダーシップに大きな影響をもたらすとは思えない」と指摘、長期的な戦略のひとつとして捉えるべきだと強調した。


北朝鮮は、開放すれば外からの情報が入り、開放しなければ経済は疲弊するというジレンマを抱えている。「核とミサイルの開発は、このジレンマを解決し体制を維持するために北朝鮮の指導部が選択した長期戦略だ。彼らがこの基本的な態度を変えない限り、核やミサイル開発を断念することはないだろう」という分析は、北朝鮮との困難な交渉に当たってきた当事者だけに説得力がある。一方で「中国経由で外の情報も少しずつ入っており、長期的に見れば北朝鮮も変わらざるを得ない」と希望も示した。


理性的な受け答えに終始していたストラウブ氏だったが、質疑の最後にコンドリーザ・ライス氏の回顧録に関連してブッシュ政権の北朝鮮政策について問われると表情が一変した。「ブッシュ政権には政策の一貫性どころか政策そのものがなかった」と語気を強めて手厳しく批判する姿に、長年、朝鮮半島を見続けてきた元キャリア外交官としての矜持が感じられた。



ゲスト / Guest

  • デービッド・ストラウブ / David Straub

    アメリカ / USA

    元米国務省朝鮮部長

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