2011年10月12日 15:00 〜 16:30 10階ホール
シリーズ企画「3.11大震災」 放射能汚染地域での生活 バベンコ ベルラド放射能安全研究所副所長

会見メモ

司会 瀬川至朗 日本記者クラブ企画委員

通訳 辰巳雅子(日本文化情報センター代表)


ベルラド放射能安全研究所HP

http://www.belrad-institute.org/


辰巳雅子HP「ベラルーシの部屋」

http://belapakoi.s1.xrea.com/


辰巳雅子HP「ベラルーシの部屋ブログ」

http://blog.goo.ne.jp/nbjc


世界文化社『自分と子どもを放射能から守るには』

http://www.sekaibunka.com/book/exec/cs/11318.html


会見リポート

日本の食品暫定規制値に疑問呈す

石郷岡 建 (毎日新聞出身)

チェルノブイリ原発事故はウクライナで起きた。しかし、実際は風向きの加減で、国境を越え、北のベラルーシにも被害をもたらした。その放射線汚染と戦っている民間組織が「ベルラド放射能安全研究所」だ。そして、バベンコ副所長の話から伝わってくるのは、国家への強烈な不信感だった。「我々の最大の敵は保健省だった」と、糾弾して止まない。


事故当時、ゴルバチョフ・ソ連政権は事実の公表を遅らせ、内容も隠し続けた。それは社会主義国家の威信に関わる問題だった。しかし、バベンコ副所長の説明では、ソ連崩壊後も国家は適切な対応をしてこなかった。政府は人命よりも社会利害関係を重視し、常に、官僚主義の保身に走った。聞いていると、一体、国家はどこまで人々を守るのかとの根源的な問いにぶつかる。


そして、バベンコ副所長は、控え目ながら、福島原発事故後に発表された日本の食品暫定規制値にも疑問を呈した。ベラルーシでは食品ごとに、細かな数値が出されているが、日本では大雑把に二つの数値しかない。日本は「まだ発展途上にあるのだろう」と、皮肉な感想を述べた。


では、信頼できない国家に、どう対応するのか。バベンコ副所長の答えは「自分のことは自分で守る」ことだという。推奨するのが、各地の学校に、放射能汚染調査クラブを作る。子どもたちが課外活動を通じ、自分の地域のどこかが汚染され、どの程度食品が汚染されているのか、きちんと調べる。汚染の概要が分かり、放射能への理解が若い世代に養われていく。


国家は常に「問題はない」と言い続けるが、我々は「問題はあるが、解決はできる」との態度が重要だ。日常の対策こそがもっとも大切と力説した。そんなに国家不信の感情を抱いていいのかとの疑問はあった。それでも、現場体験からの言葉には、十分な説得力があった。


ゲスト / Guest

  • ウラジーミル・バベンコ / ULADZIMIR BABENKA

    ベラルーシ / Belarus

    ベルラド放射能安全研究所副所長 / Deputy-Director, BELRAD Institute

研究テーマ:シリーズ企画「3.11大震災」

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