2011年04月22日 11:00 〜 12:00 10階ホール
記者会見 ギラード豪首相 

会見メモ

日本を訪問したギラード・オーストラリア首相が記者会見し、日本の震災復興に協力し支援する姿勢と両国の深いつながりを強調した。


≪「オーストラリアが水害で被災した時、修学旅行でオーストラリアに来た日本の学生が折り鶴を折って贈ってくれた。今回、日本が震災に襲われ、オーストラリアの学生たちが折り鶴を贈り、日本を助けようとしている」≫


ギラード首相はオーストラリアからの義援金や救助隊派遣など、東日本大震災の被災者支援を紹介し、日豪米の3カ国の自衛隊と軍が協力して支援した事例を説明した。菅首相との首脳会談で、安全保障協力の拡大や自由貿易協定(FTA)の交渉進展などで合意したことを評価した。日本が当面、震災復興を優先することを理解すると述べたうえで、自由貿易の進展に期待を示した。

捕鯨についての質問に「両国間で意見の違う問題もあり、捕鯨はそのひとつだ。オーストラリアは捕鯨に反対であり、国際司法裁判所に提訴したし、今後も提訴を続ける。人の安全を最優先する海洋のルールはシーシェパードも含め守るべきだ」と答えた。

オーストラリアのエネルギー政策について、原子力エネルギーは将来も持たず、太陽、風力、潮力、地熱などクリーンエネルギーの経済を作りたい、との考えを示した。


在日オーストラリア大使館のホームページ

http://www.australia.or.jp/

スピーチテキスト(オーストラリア大使館HP)

http://www.australia.or.jp/speeches/dfat_20110422_03.php(日本語)

http://www.pm.gov.au/press-office/keynote-address-japan-national-press-club-tokyo(英語)


質疑応答(オーストラリア大使館HP)

http://www.australia.or.jp/speeches/dfat_20110422_02.php(日本語)

http://www.pm.gov.au/press-office/transcript-question-and-answer-session-following-speech-japan-national-press-club-tokyo(英語)


会見リポート

「原子力抜き」に自信

松尾 圭介 (時事通信外信部)

放射能を恐れ外国人が逃げ出した東京へ、太平洋を隔てたオーストラリアから同国初の女性首相がやって来た。日本入りする直前、福島第1原発から放出された放射性物質は豪州でも検出され、南半球にも影響が及んだことが確認されている。


会見に臨んだギラード首相は「現在、豪州は原発を持っていないし、将来の選択肢にも原子力は入っていない」ときっぱり。うらやましいぐらい割り切っている。


豪州の面積は日本の20倍だが、人口はわずか2150万人。日本の6分の1に過ぎない。石炭、鉄鉱石、ウランと資源に恵まれ、日本が昨年、輸入を頼った国としては、中国、米国に次いで第3位だ。


豊富な資源と自然、広い国土を生かし「太陽、風力、潮力、地熱といった新技術を使うクリーン・エネルギーに基づく経済を作っていきたい。豪州は記録的な投資を太陽など新エネルギーに対し行ってきた」と原子力抜きの将来像に自信を見せる。


ただ、そのために「来年の7月1日から炭素税を導入しようと考えている」とも付け加えた。温室効果ガス排出削減策の一つとして始まったこの新税をめぐる激論は日本にも伝わってきている。日本の事故が推進派への追い風となるのか。新エネルギー導入の試みと合わせ、豪州の取り組みの成否は日本にとっても非常に興味深い。


一方、豪州は昨年末から大洪水に見舞われ、北東部クイーンズランド州は仏独の合計に相当する広大な面積が被災地となった。記憶は冷めていない。今回の来日でも「ぜひやりたかったことは、自分の身をさらし、被災者と共にあることを示すことだ」と強調。会見の翌日は、東日本大震災で甚大な津波被害を受けた宮城県南三陸町へと向かった。



ゲスト / Guest

  • ジュリア・ギラード / Julia GILLARD

    オーストラリア / Australia

    首相 / Prime Minister

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