2004年05月19日 00:00 〜 00:00
立花宏・経団連専務理事/井上洋・同総務本部秘書グループ長「外国人受け入れ問題」

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会見リポート

外国人受け入れの課題

中村 恒夫 (時事通信社産業部長)

日本の総人口は2006年から減少に転じ、いよいよ本格的な少子・高齢化時代に突入する。立花専務理事は、先にまとめた「外国人受け入れ問題に関する提言」を使って、政府や自治体、企業の取り組むべき課題を指摘した。

旧日経連を統合した日本経団連は雇用にも目配りする立場にある。若年層の雇用環境悪化が懸念される中で、外国人の受け入れを推進する姿勢に疑問が残るが、立花氏は「若い人が働きたがらない仕事がある」と強調。聞き取り調査に応じた岐阜の零細繊維業者で働くのは、中国人九人に対し日本人は三人だけだったという実例を紹介した。アンケート調査によれば、製造業の研究開発部門や製造現場でも労働力不足が深刻化する見通しという。特に、急務を要する看護、介護分野については「自由貿易協定(FTA)交渉などを行っている東南アジアの国を中心に考えてはどうか」と提案した。

外国人を受け入れた場合、就労管理の強化、社会保障制度の充実など新たなコストが生じるのは避けられない。日本経団連の試算では、受け入れによる成長率への効果は「名目、実質とも0・5%に達する」というが、十分なコストを賄えるかどうかは不透明と言える。

中国ブームの中で、大手企業は国際的な水平分業を加速している。外国人の受け入れは、日本の産業空洞化を回避するためにも欠かせない面があろう。今後は政府の対応もさることながら、個々の企業がどのような具体策を講じるかが焦点になるとの印象が残った。

ゲスト / Guest

  • 立花宏 / Hiroshi Tachibana

    経団連専務理事 / Managing Director, Keidanren (Japan Business Federation)

  • 井上洋

    同総務本部秘書グループ長

研究テーマ:外国人受け入れ問題

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