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12年、ようやく出発点に(西井 紘輝 テレビ朝日報道局ニュースセンター社会部)2023年3月

双葉町

 阪神・淡路大震災の39日前、私は神戸で生まれた。公園に立ち並ぶ仮設住宅の記憶が辛うじて残るが、12年が過ぎた小学6年の頃には、震災の面影は街並みからほとんど消えていた。

 本当に同じ12年なのか―。

 2023年。初めて訪れた双葉町には、崩れ落ちた住宅などがあちこちに残っていた。言葉を失う私に、町職員は話す。「でも、この町の12年を知る人は『よくここまで来たね』って話してくれるんです」。廃墟が点在する一方で、真新しい建物が目にとまる。ダークブラウンが美しい木造の復興住宅は、既に20戸が契約済み。新しい暮らしを始めた家もある。産業創出の拠点には、ガラス張りの撚糸工場を建設中だ。

 「双葉の復興はマイナスからのスタートだ」と発言してきた伊澤史朗町長(写真)。今回の会見では、「ようやくゼロになった」と話した。県外避難、瓦礫除去、除染作業の12年を経て、やっとたどり着いたスタートライン。双葉町の〝復興〟は、まだ始まったばかりだ。

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