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「関心がわれわれの励みに」(新潟日報社論説編集委員 相田晃)2020年3月

 「風化が進んでいる。皆さんに忘れないでいただきたい」

 

 取材団に語った伊澤史朗・双葉町長の言葉が胸に深く刻まれている。

 

 東京電力福島第一原発事故から9年。あれだけの大惨事でも、過去の出来事として埋もれつつある現実。

 

 伊澤町長は「関心を持っていただくことが、われわれにとって励みになる」とも述べた。

 

 伝え続ける―。私たち報道機関の使命を再確認させられた。

 

 全町避難が続く双葉町も、3月4日に一部地域で避難指示が解除された。常磐線はJヴィレッジ駅が新設され、3月14日に全線復旧する。被災地の復興は着実に進んでいた。

 

 だが一方で「まだこれしか進んでいないのか」との思いもぬぐえない。帰還困難区域はまだ広大だ。第一原発の廃炉の先行きも見えない。

 

 影響は長期間にわたり、失うものが多過ぎる。実感したのは、原発事故のすさまじさだ。

 

 新潟県にも東電柏崎刈羽原発がある。原発は本当に必要なのか。他に道はないのか。改めて考えさせられている。

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