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個人D会員 仲晃 2002年2月

外部からは、繁栄にばく進する印象を持たれている台湾だが、近年の不況に直面して、資本の約2割がビジネス機会を求めて大陸に進出。そのあおりで国内産業だけでなく、政治、社会面にも一種の空洞化が進行している。悲願の「二つの中国」路線に意外な影響が出るかも。

 

フィリピンでも開発への熱意は感じたが、目をそむける貧困が各地に居座っている。こうした貧富の格差を政治の蛮勇で解消しない限り、"離陸"は困難と思われた。アブサヤフ武装集団の脅威は誇大に報道されており、米国が強調する国際テロの有機的一環という空気はない。日本政府の機械的な旅行制限にも疑問。アロヨ大統領は清潔で小気味のよい女性政治家だが、政治基盤が弱過ぎ、残念ながら改革手腕には期待薄。急速にグローバル化が進む現代で、経済は外交、軍事、文化と不即不離になっており、「アジア経済視察団」も将来「アジア視察団」でどうか。

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