ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


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らしくない失業者 (朝日新聞社 山田史比古)2018年6月

ヘルシンキの港にあるカフェで落ちあった、ベーシックインカム実験参加者の姿は強烈だった。平日の昼下がり、彼はパリッとしたジャケット姿で、注文したカクテルを受け取ったところ(写真)。今回の実験は「失業者」が対象のはずだが、日本のイメージではとても失業者にみえない。

 

フリーのジャーナリストで、妻は元国会議員で作家。その彼が、日本の生活保護に役割が近い失業給付を受け、抽選で実験対象に選ばれ、快活にその意義を語る。翌日、大学の食堂で取材した別の参加者も意外な状況だった。再就職が決まった後に参加が決まり、賃金を普通に受け取りつつ実験の給付を受けていた。

 

制度政策の中身はもちろん、言葉の意味、社会の立て付けも含め、活字で学ぶだけでは気づけないことにあふれた視察でした。

 

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