ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


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「みるく世」を願って(沖縄タイムス社 謝花直美)2015年6月

 

時間的に余裕がない中、沖縄の人々が造った魂魄の塔、南部の戦争体験を象徴するアブチラガマをコースに組み入れた。遺骨を納めたガマに造られた素朴な慰霊塔、火炎放射と砲弾に追われた住民が逃げ惑った珊瑚礁の浜。アブチラガマの闇。沖縄の日常には戦の記憶が刻まれている。生き延びた人々は死に別れた人々への思いとともに生きる。だが「みるく世(弥勒世)」はまだ実現しない。万余の人が戦後を始めた大浦崎収容地区沖で、新基地建設に激しい抗議が行われている。沖縄戦の苦しみや悲しみ、「みるく世」を願う思いが、基地反対の源流であることを伝えてほしい。

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