ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


第15回(中国)新常態(ニューノーマル)の経済現状と課題(2016年8月) の記事一覧に戻る

慎重な政府関係者・雄弁な企業人(渥美 龍太)2016年8月

驚かされたのは、言葉の使い方の慎重さだった。政府関係者に景気減速の実感を聞くと、「景気が悪いのは中国だけではない」と判で押したように同じ答えが返ってくる。都合の悪い質問には回答自体がないこともしばしばだった。一方で電子商取引最大手のアリババでは、幹部が率直かつ雄弁に戦略を語った。一党独裁の政府と世界に目を向ける巨大企業が、当たり前のように共存する国。わずか一週間の滞在ながら、中国の奥深さと変化の胎動を感じた。さらに密に接して溶け込めば、この面白さの虜になるだろうと想像できた。

 

(東京新聞)

ページのTOPへ