取材ノート
ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。
取材の仕方の違い実感(野崎 亮)2016年8月
「高炉は見せられない」。鞍山鋼鉄集団の幹部は顔をしかめた。引き下がらないわれわれに「なぜ要求されるんだ」と小声でつぶやいたようにも聞こえた。中国の鉄鋼の供給過剰問題は、価格下落で世界中のメーカーを苦しめ、貿易を衰退させている。最新の稼働状況を報じる必要があると思った。尽力してくれた現地の担当者は「国によって取材の仕方は違う」と説明した。当然取材できると思った自分にも甘えがあった。記者として中国への理解を深め、心を開いてもらえる努力をしていきたい。
(共同通信社)