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第11回(フィリピン)アキノ大統領会見(2014年11月) の記事一覧に戻る

米中の狭間に揺れる国(中西 恵子)2014年11月

日の出前の午前5時半、フィリピンの街はすでに活気にあふれていた。65歳以上が人口に占める割合は4%。今夏、人口も1億人を超えたという。成長する若い国である。対して日本。弊誌では昨年以来、「地方消滅シリーズ」を展開し、繰り返し少子高齢化の危機を言い募ってきたこともあり、あまりの落差にがく然とする。

 

そのフィリピンの経済成長を支える一角に中国の存在がある。南シナ海を次々埋め立て、滑走路まで建造するなど中国の膨張は留まるところを知らず、中比関係は緊張が続くが、アキノ大統領の発言は「南シナ海だけが中比関係ではない」「仲裁裁判所に判断を委ねている」などと極めて抑え気味で驚く。

 

安全保障上は米国に頼りながらも経済関係は中国との深化を続ける東アジアの厳しい現実を目の当たりにした取材だった。

 

(中央公論編集部次長)

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