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第11回(フィリピン)アキノ大統領会見(2014年11月) の記事一覧に戻る

日本への期待前面に(出口 朋弘)2014年11月

ことし5月にマニラに赴任して以降、アキノ大統領の発言で引っかかっていた言い回しがあった。「フィリピンにとって真に戦略的関係にある国は2つだけ。米国と日本だ」

 

1992年にフィリピンから米軍基地は撤廃されたが、米比両国は相互防衛条約で結ばれた同盟国。一方、日比両国は2011年9月の野田・アキノ首脳会談の共同声明で、両国間関係を「戦略的パートナーシップ」と位置づけたに過ぎない。

 

今回の記者会見でも、同様の発言が繰り返され、聞かれてもいないのに日本での憲法解釈見直しへの支持も表明。東南アジアの国々をも差し置いて、米国と同列に扱うのは少し持ち上げすぎではないかと感じるが、南シナ海で中国に押されっぱなしの現状に危機感を強め、日本への期待が前面に出た記者会見だった。

 

(共同通信社マニラ支局長) 

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