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第9回(ハワイ)米軍基地(2012年1月) の記事一覧に戻る

対テロ戦争の疲労濃く(高橋 融生)2012年1月

「家賃の安い住宅を探すのはどんどん難しくなっているのに、助けが必要な人は増える一方」

オアフ島北東部カネオヘの小さなオフィスで、ホームレス救済に携わるNGOの幹部が嘆いた。ハワイ州は深刻なホームレス問題を抱える。ツアーの移動中、車窓からも路上に横たわる人の姿を絶えず目にした。最低賃金は時給7ドル25セントだが、家賃相場は全米で最も高い。

 

軍事拠点としての特性も、この問題に影を落とす。イラクやアフガニスタンからの帰還兵が、ホームレスになる例が目立つのだという。

 

基地に帰ってきても、派遣地での過酷な体験が心から消えない。PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患い、酒や薬物に手を出す。退役後に、冬でも暖かい島の野外で暮らすようになるそうだ。「家族と連絡を絶ってしまう例も少なくない」

 

オフィスを出ると、海兵隊の飛行場が遠くに見える。

 

10年に及んだ対テロ戦争の残した疲労が、基地のフェンスと隣り合う街に色濃く表れている様子がうかがえた。
 
(神奈川新聞論説委員・横須賀支社報道部キャップ)

 

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