2022年11月30日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「かかりつけ医を考える」(4) 西沢和彦・日本総合研究所主席研究員

会見メモ

社会保障と税制を専門とする西沢和彦・日本総合研究所主席研究員が登壇し、医療を取り巻く諸課題などを踏まえ、その解決に向けたかかりつけ医のあり方などについて話した。

2日前の11月28日に、厚生労働省はかかりつけ医として公的に認める認定制は見送る方向性を示している。

西沢さんは認定制度と事前登録は必要との立場から厚生労働省が提示した案について、「ほぼゼロ回答。コロナ禍で浮上した医療課題の解決にもつながらない」とした。

「かかりつけ医」という言葉ではなく「プライマリ・ケア」「家庭医」という言葉でビジョンを共有する必要があるとの認識を示した。

 

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

プライマリ・ケアの視点で検討を

堀井 恵里子 (毎日新聞社くらし医療部副部長)

 コロナ禍を機に注目されているかかつけ医の在り方。財政制度審議会は今年5月、かかりつけ医について、①機能を法制上明確化②認定制度の創設③事前登録の仕組みの導入――を提案していた。西沢氏はこれについて「賛成の立場だ」とまず明言した。だが、日本医師会は反対の立場とみられ、厚生労働省が11月末に出した制度整備の案も日医の立場に近い。

 西沢氏は「『かかりつけ医の制度化』というアジェンダ設定が議論を困難にしている。標準化されたプライマリ・ケアの普及の問題だと捉えるべき」だと指摘。経済協力開発機構(OECD)は、プライマリ・ケアを「人々が最初にコンタクトを取るヘルスケアシステムで、予防、治療、リハビリなどを提供する」と定義し、医師に限らず、看護師や薬剤師、行政機関などを含んでいることを紹介した。

 感染症対策に限らず、政府が進める「地域医療構想」にもプライマリ・ケアの充実が欠かせないとみられているが、それだけでなく、製薬産業の育成にも重要だという。プライマリ・ケアの医師は、薬を処方し、その副作用に早く気づける。こうした「リアルワールド」のデータを蓄積すれば、医療の発展に役立てることができると、幅広い視点を示した。

 厚労省の議論は制度の在り方が先行しているが、「かかりつけ医として、登録するレベルの医者は何人いるか」という点も問いかけた。国内の医師は約34万人だが、日本プライマリ・ケア連合学会の専門医は約1100人、日本専門医機構でも1000人超にとどまる。人材育成が欠かせない。

 しかし、国の規制によって、医療機関は看板で「総合診療」を掲げることができない。「これで、医師の卵が希望を持って入ってこられるか。日陰者扱いのような感じがある」と疑問を呈した。さらに、薬剤師や看護師へのタスクシフトや、電子カルテの導入などデジタル化によって、プライマリ・ケアに当たる医師の負担を軽減する必要性を指摘した。


ゲスト / Guest

  • 西沢和彦 / Kazuhiko NISHIZAWA

    日本総合研究所調査部主席研究員 / Chief Senior Economist, Economics Department, The Japan Research Institute, Limited

研究テーマ:かかりつけ医を考える

研究会回数:4

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