会見リポート
2020年02月25日
14:30 〜 15:30
10階ホール
「安保改定60年 その功罪と今後」(3) 石破茂・衆議院議員
会見メモ
防衛相を務めた石破氏が登壇し、日米同盟の意義と今後のあり方について話した。
司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員
「安保改定60年 その功罪と今後」
(1)2019年11月20日(水) 五百旗頭真・兵庫県立大学理事長
会見リポート
安全保障基本法の制定を
及川 正也 (毎日新聞社論説委員)
国家という大きなテーマにも関わらず、その説話が説得力を持つのは、理詰めで積み上げた持論が一貫性を持つからだろう。会見を聞いて改めて実感した。
国会内で警察隊とデモ隊が衝突し、混乱の中で成立した改定日米安全保障条約から60年。日米安保体制はいまも日本の国を守る基盤だ。
「独力防衛は非現実的であり、日米同盟はいい選択だ」と評価したうえで、課題に挙げたのが「同盟のサステナビリティー(持続可能性)をいかに高めていくか」という点だ。
石破氏は楽観視していない。「日米同盟は冷徹だ」と言う。「自国の防衛はまず自分の国でやる」のが基本であり、「最後は米国が何かしてくれると思っている」という米国頼みの考え方への警鐘とも受け取れた。
日本の防衛力をどう整えるか。「できることとできないことをはっきりさせる」ための安全保障基本法制定を改めて訴えた。自衛権の行使もこれに明記する考えだ。
安倍晋三首相は自衛隊明記の憲法9条改正を主張するが、「ハードルは極めて高い。否決されても今のまま変わらないなら面妖だ」と退けた。
日米にとって現在の脅威は中国だろう。とりわけ、「台湾問題は深刻だ」との認識を示し、「海洋進出を抑えるための日本の努力や日米同盟(の在り方)に集中して議論すべきだ」と強調した。
そのための防衛力整備について「中国の原子力潜水艦はノイズが高く、静粛性に優れた日本の潜水艦の能力を高め、哨戒ネットワークを米海軍とリンクする(ことで優位性を保つ)」などと具体的に言及した。
軍事を知るからこそ、力の行使に慎重な政治家でもある。戦前の総力戦研究所の敗戦シナリオを無視して大戦へと突き進んだ経過を描いた『昭和16年夏の敗戦』(猪瀬直樹著)を愛読することが、その姿勢を物語っている。
ゲスト / Guest
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石破茂 / Shigeru Ishiba
衆議院議員(自由民主党) / Member of the House of Representatives, the Liberal Democratic Party
研究テーマ:安保改定60年 その功罪と今後
研究会回数:3