会見リポート
2019年11月21日
15:00 〜 16:00
9階会見場
「連合30年」(3) 中北浩爾・一橋大学大学院教授
会見メモ
シリーズ「連合30年」の第3回ゲストとして中北浩爾・一橋大学大学院教授が登壇した。
この間の連合と政治の関係について、55年体制崩壊後の橋本行革で官邸主導は強まり、小選挙区制で党派化が進展した結果、「官邸主導の政策会議からの労組排除が進んだ」と解説。
安倍政権の政策は「部分的に労働者寄り」と指摘し、「(官邸に)賃上げを主導されるとなんのために連合があるのかとなり、連合にとっては厳しい状態にある」とした。
打開策については“希望的”と前置きした上で「公正な社会の実現に向け非自民を支えること。自民支持ではないはず」。
司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)
(1)篠田徹・早稲田大学教授 11月12日(火) 16:00〜17:00
(2)神津里季生・連合会長 11月15日(金) 14:00〜15:00
会見リポート
国民の期待高まる活動必要
佐々木 美恵 (産経新聞社政治部長)
「最も思いを持って話せるテーマだ」
自公連立政権を考察した著作や発表で注目を集めている中北氏だが、会見はこの前置きで始まった。
結成30年を迎えた連合は厳しい状況にある。その大きな原因として、小選挙区制の導入で政治の党派化が進んだこと、政策決定が官邸中心のトップダウン型に変わった結果、連合が政策決定に影響力を持つ余地が減少したことなどを指摘した。また安倍晋三政権では、首相自ら財界に賃上げを求めるのも珍しい光景ではなくなった。中北氏は「連合にとって一番厳しいかたちで球が投げられている」と評した。
衆参ねじれ状態や政権交代が起きれば、連合も政治的な影響力を一定程度取り戻せるが、支援してきた「民主党」勢力が分裂を繰り返す現状ではたやすくない。「打開の手立てが見当たらないというのが、この7年の連合の置かれた状況だった」と述べた。
連合は今年10月の定期大会で採択した運動方針で、特定の支持政党を明記しなかった。目標と政策を共有する政党、政治家と協力関係を結ぶという。中北氏は消費税増税を例に挙げ「論理的には自民党政治家との協力もあり得ないわけではないが、自民党寄りになることへのハードルは高い。私の希望的な部分もあるが、連合の『民主党』支持は続く“はず”だ」とユーモアを交えて語った。
取り組みの遅れが指摘されてきた非正規労働者への働きかけについては「あぐらをかいているという指摘は正しくないが、足りない」と多面的な取り組みを求めた。連合再生のヒントとして、中北氏は2003年の連合評価委員会の最終報告を挙げ、「組合員が元気になる活動を行い、野党を再結集し、ビジョン実現の可能性を示すことで、国民の期待が高まるという好循環をつくるべきだ」と訴えていた。
ゲスト / Guest
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中北浩爾 / Koji Nakakita
一橋大学大学院社会学研究科教授 / professor, graduate school of social sciences, Hitotsubashi University
研究テーマ:連合30年
研究会回数:3