2019年03月04日 14:30 〜 15:30 10階ホール
イーホル・ハルチェンコ駐日ウクライナ大使 会見

会見メモ

ロシアによるクリミア併合から5年が経過したウクライナの最新情勢などについてハルチェンコ大使が話した。

 

司会 土生修一 日本記者クラブ事務局長

通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

対ロ交渉の困難さ強調

 ロシアによる2014年のウクライナ南部クリミア半島併合から3月18日で5年を迎えるのを前にハルチェンコ大使が会見した。冒頭でクリミアでは「占領」するロシアによる政治弾圧や人権侵害が横行する一方、「軍事基地」化が進んでいるなどと非難した。興味深かったのは、ハルチェンコ氏が今回、対ロ交渉などについて本音を吐露する場面が何度か見られたことである。

 私は、「ロシアは最近、クリミア併合などに関連した対ロ制裁を北方領土交渉で重要テーマとする姿勢を鮮明にしているが、ウクライナには制裁の部分解除などの懸念はないか」と質問した。大使は直接答えず「日本は違法に奪取された領土を取り戻す手段として交渉を行っている。グッドラック(ご健闘をお祈りします)」と述べた。また「あの国を相手に交渉をまとめるのは至難の業だ」と対ロ交渉の困難さを指摘し、「首脳同士の合意ですら一枚の紙切れ(合意文書)ほどの重みもない」というドイツの鉄血宰相ビスマルクの言葉を紹介した。

 さらに「グッドラック」というのは交渉妥結なら「ウクライナを犠牲にしてもよい」という意味ではないと強調した。間接的だが、国際法を順守する日本が交渉進展を狙って対ロ制裁を緩和することなどありえない、とくぎを刺したといえる。

 対ロ交渉の経験が豊富で、大学で外交史を教えた経験もあるハルチェンコ氏である。個人的な見解と断ったうえでウクライナ東部の和平に関する交渉を見ても今の「ロシア政権とは全然交渉にならないと思う」と踏み込んだ。プーチン氏との「信頼関係」なるものに頼って突き進む日本政府のナイーブ極まりない対ロ(プーチン)交渉に危うさを感じているに違いない。ただウクライナを一貫して支援する日本への批判ははばかれる。一見素っ気ない「グッドラック」という言葉に、練達の外交官の憂慮が込められている気がしてならない。


東京新聞外報部次長  常盤 伸

ゲスト / Guest

  • イーホル・ハルチェンコ / Ihor Kharchenko

    ウクライナ / Ukraine

    駐日ウクライナ大使 / Ambassador of Ukraine to Japan

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