2019年01月22日 14:00 〜 15:00 9階会見場
ペレイラ駐日キューバ大使 会見

会見メモ

司会 中井良則 日本記者クラブ前専務理事

通訳 山中道子(キューバ共和国大使館)


会見リポート

トランプ政権には辛抱強く対応

宮本 英威 (日本経済新聞社国際アジア部)

 キューバと米国の関係を巡り、米国務省による重要な発表が1月16日にあった。対キューバ制裁強化法である「ヘルムズ・バートン法」の3章の適用の一時停止期間を45日間にとどめるという内容だ。1996年の発効以来、常に6カ月ごとに更新されてきたが、大幅に短縮された。

 この章は1959年のキューバ革命後に同国政府が接収した米国企業の財産を、その後に第三国の企業が用いてビジネスをした場合でも米国で損害賠償請求の対象になる可能性を規定している。仮にこの法律の停止が解かれれば、欧州やアジアの企業はキューバへの投資をより慎重に考える。国際社会では臆測を呼ぶ。ペレイラ大使は法律自体が他国の主権を侵していると指摘し、今回の変更は「脅しだ」と反発した。

 ただ悲観論ばかりに傾いている印象は受けなかった。両国の国交が回復したのは2015年7月。17年1月に発足したトランプ政権下では米国からの渡航制限が強化されたりしたものの、「対キューバ政策でトランプ政権は一枚岩ではなく、強硬派は少数派だ」と指摘した。キューバ移民2世で、共和党のマルコ・ルビオ上院議員やボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)らの影響力拡大を警戒するものの、関係改善の「基本的な流れは変わっていない」と認識。「辛抱強く対応していく」と語った。

 日本とキューバは2019年に外交関係90年の節目を迎える。近年は両国要人の行き来も急速に増えており、「両国の関係は深まっている」。今秋以降にも要人の訪問を計画しているという。相手国に進出している企業の投資財産を保護する「投資協定」の締結に向けた交渉も始まる予定だ。

 明るく話し好きのペレイラ大使。冒頭で「何でもあらゆるテーマについて話したい」と述べたように、憲法改正や北朝鮮問題、今後のイベントの予定など話題は多岐にわたったがそれでも話し足りなかった様子。大使館で定期的に開く記者懇談への参加を呼びかけることを忘れなかった。


ゲスト / Guest

  • カルロス・ミゲル・ペレイラ・エルナンデス / Carlos Miguel Pereira Hernández

    キューバ共和国 / Republic of Cuba

    駐日大使 / Ambassador

前へ 2024年03月 次へ
25
26
27
28
29
2
3
4
5
9
10
11
12
16
17
20
23
24
30
31
1
2
3
4
5
6
ページのTOPへ