2019年01月21日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「2019年経済見通し」②中国経済:柯隆・東京財団政策研究所主席研究員

会見メモ

2019年経済見通し (2)

柯隆氏に、中国国内経済や米中対立の見通しを聞いた。2018年のGDP(国内総生産)成長率は6.6%と発表されたが、先行きが見通せないことから投資や消費が伸び悩み、中国経済は迷走していると述べた。

 

司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)


会見リポート

「3つの罠」に苦しむ中国経済

 会見の2時間半前に、昨年の中国GDPが発表されるタイミングの良さ。成長率6・6%という数字を見て、柯隆さんは「高いなと思った」という。現地調査で得た体感温度やさまざまなデータを総合すると、「そこまでいっていないのでは」と語る。

 目下の最大関心事、米中貿易戦争については「中国側が譲歩し、ソフトランディングする可能性が高い」との見立て。しかし米中対立はそこで終わらない。「貿易赤字は口実であり、真の狙いは覇権争い。その代表格が技術」だからだ。「トゥキディデスの罠」である。

 柯隆さんによると、中国経済は「迷走」しており、個人も企業も行政も「方向感が見えていない」。だから投資も消費も伸びない。安い人件費で大量生産し、輸出で稼ぐ発展モデルはもはや機能せず、「中所得国の罠」にはまった。危機を乗り切るには日本のように技術力を磨くしかないが、その技術を巡って「トランプというハードルにぶつかった」。かくして貿易戦争勃発に至る。

 華為技術(ファーウェイ)の5G主導や月の裏側着陸、先端兵器開発など中国の技術発展を印象付けるニュースが多いが、柯隆さんは「それは国家プロジェクトに限る。一般企業の技術力はまだまだ」とみる。強国たるに必要な3要素の経済力、軍事力、文化力はいずれも心もとなく、特に文革で徹底破壊された伝統文化に代わるものが、自由のない社会では生まれない。さらに3つ目の罠、政府が国民に信用されない「タキトゥスの罠」があり、政策効果を妨げる中国経済と中国政治の前途に対して、総じて悲観的だ。

 歯切れの良さが身上の柯隆さんにしては、「これ以上は私の口から言えない」「ここから先は皆さんで忖度してほしい」といった用心深さが目立った。でも、言わんとすることは明瞭に伝わる。その意味で、こちらが心配してしまうくらい率直さは健在だった。


時事総合研究所代表取締役 服部 健司

ゲスト / Guest

  • 柯隆 / Ke Long

    東京財団政策研究所主席研究員 / Senior Fellow, The Tokyo Foundation for Policy Research

研究テーマ:2019年経済見通し

研究会回数:2

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