会見リポート
2018年11月06日
10:30 〜 11:15
9階会見場
チャヴシュオール・トルコ外相 会見
会見メモ
司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)
通訳 池田薫
会見リポート
記者殺害、安田氏解放で注目
浅見 麻衣 (時事通信社外信部)
トルコ・イスタンブールのサウジアラビア総領事館で起きたサウジ人記者殺害事件、シリアで拘束されたジャーナリスト安田純平さんの解放、米国のイラン制裁再発動による影響、シリア問題、対米および対ロシア関係―。外相として来日2回目だというトルコのチャヴシュオール外相への質問は多岐に及んだ。国際社会におけるトルコの現在の立ち位置を象徴するような会見だったと言える。
「実行犯が指示なしに自発的にトルコに来て1人のサウジ国民を殺すことはない」
サウジ人記者ジャマル・カショギ氏の殺害事件をめぐり、トルコのエルドアン大統領が指摘した「サウジ政府最高レベルからの命令」について問われても、関与が取り沙汰されているムハンマド皇太子の名前には言及しなかった。しかし、「全容解明まで捜査を続ける」と強調し、カショギ氏の遺体の所在を明らかにすることや容疑者の身柄を引き渡すことをサウジ側に改めて求めるなど、毅然とした態度を示した。
是々非々の姿勢は対米関係でも見せた。米国が11月5日に再開した対イラン制裁について「イランを追い詰めるのは得策ではない」と批判。2016年にトルコで起きたクーデター未遂の首謀者とされる在米イスラム指導者ギュレン師についても、トルコで長期間拘束され、10月に釈放された米国人牧師と比較し、「米国は市民1人のために大騒ぎしたが、クーデター未遂では251人のトルコ市民が殺害された」と皮肉を述べた。トルコと敵対するシリアのクルド人勢力を米国が依然支援していることも「容認できない」と一蹴した。
今回の滞在中、河野太郎外相らから安田純平さんの解放をめぐるトルコ政府の協力について直接謝意を伝えられた。身代金はあったのか―。記者の質問にチャヴシュオール外相は「私の知る限り身代金は支払われていない」と言明。しかし、言葉の端々から解放に向けたさまざまな努力があったことを感じさせた。
ゲスト / Guest
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メヴリュット・チャヴシュオール / Mevlüt Çavuşoğlu
外務大臣 / Minister of Foreign Affairs