2018年10月29日 16:00 〜 17:00 10階ホール
インドネシア・スラウェシ地震・津波支援 報告会見

会見メモ

司会 土生修一 日本記者クラブ事務局長

 

写真左から五十嵐氏、杉本氏

 

投影資料ほか関連画像などは下記でダウンロードできます(11月5日まで)

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会見リポート

子どもの心のケアも重要

大熊 慶洋 (共同通信社外信部)

 日本赤十字の緊急医療支援チームは、国内外の災害現場で多くの活動実績がある。2千人以上が死亡した9月のインドネシア・スラウェシ島の地震・津波被災地で支援活動に従事した、赤十字派遣の医師らの報告は、日本の災害現場とも共通する現地の実情や、被災地が直面するさまざまな課題を浮き彫りにした。

 名古屋第2赤十字病院の杉本憲治医師と、日赤本社の五十嵐玲奈さんは、震源に近いスラウェシ島のトンペを中心に医療支援活動に当たった。

 五十嵐さんは、被災後、再び地震に襲われることへの恐怖から家に戻れず、避難者用のテントでの生活を余儀なくされている双子の6歳女児の事例を紹介した。地震直後、驚いて素足で外に飛び出した女児は、その後4日間、吐き気が止まらなかったという。

 五十嵐さんによると被災地では女児同様、自宅に入れなくなったり、突然泣きだしたりする子どもが今も多数いる。2016年の熊本地震の際にも現地入りした五十嵐さんは「熊本でも地震後、自宅でなく車の中で寝るようになった子どもたちが多くいた」と話し「外からはニーズの見えにくい」子どもたちの心の傷を癒やすためのケアの重要性を強調した。

 緊急医療アドバイザーとして活動した杉本医師は、被災地の衛生状況について、家を失った被災住民が、トイレの備わっていない仮設テントに「密集して住んでいる」ことを指摘。「さまざまな感染症を惹起する」懸念があると語った。

 また今回倒壊した多くの建物にアスベストが含まれている可能性が高く、がれき撤去などの復旧作業に従事する人々が、アスベストを吸引する恐れがあることに言及。健康被害を防ぐために、何らかの取り組みに着手する必要性があると訴えた。


ゲスト / Guest

  • 杉本憲治 / Kenji Sugimoto

    日本 / Japan

    医師(名古屋第二赤十字病院) / Japan Red Cross Nagoya Daini Hospital

  • 五十嵐玲奈 / Rena Igarashi

    日本 / Japan

    日本赤十字社事業局国際部企画課企画係長 / Japanese Red Cross Society

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