2018年10月25日 15:30 〜 16:30 10階ホール
ミャンマー人権活動家 マウン・ザーニ氏 会見

会見メモ

司会 鶴原徹也 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 池田薫


会見リポート

問題の根深さを実感させる記者会見/外では異例の抗議デモ

 熱っぽい語り口に、司会者は思わず「久々にアジ演説を聞いた」と感想を漏らした。マウン・ザーニ氏は、ミャンマー西部ラカイン州のロヒンギャに対する迫害を、ナチス・ドイツによるホロコーストになぞらえ、「仏教僧からジャーナリスト、アーティストに至るまで社会を挙げた虐殺行為が行われている」「女性はレイプされ、赤ちゃんの喉はかききられた」と批判。何度も「ジェノサイド」と繰り返し、「日本は見て見ぬふりをしないでほしい」と訴えた。

 かつては支持していたノーベル平和賞受賞者のアウンサン・スーチー国家顧問兼外相にも手厳しい。「戦略的にも、知的にも、全くリーダーではない」と断じ、「今は支持していない」ときっぱり述べた。多数派であるビルマ族の仏教徒でありながら、ここまであからさまにスーチー氏を批判する知識人は、他にいないだろう。

 複雑な歴史と国民にこびりついた差別意識の中、ロヒンギャ問題は解決への道筋が見えない。紙幅の都合上、詳細は拙著『ミャンマー権力闘争』(KADOKAWA)に譲るが、ミャンマー政府はロヒンギャを民族と認めていない。多くのミャンマー人は「ベンガリ」などと呼び、「バングラデシュからの不法移民だ」と口を揃える。

 「ザーニ氏は嘘つきです。私たちは、プレスカンファレンスの会場で抗議をします」

 実は記者会見の数日前、筆者は在日ミャンマー人の友人から、そんなメッセージを受け取っていた。会見があった10月25日は、スーチー氏を支持する約40人の在日ミャンマー人たちが日本プレスセンタービルの正面玄関前に集まり、「No Rohingya in Burma」「Betrayer Maung Zarni」などのプラカードを掲げた。プレスセンタービルで抗議デモが行われるのは異例だろう。

 会見終了後、ザーニ氏は群馬県で暮らすロヒンギャらに守られながら、タクシーに乗り込んだ。


東京新聞社会部  藤川 大樹

ゲスト / Guest

  • マウン・ザーニ / Maung Zarni

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