会見リポート
2018年11月16日
13:15 〜 14:15
10階ホール
ハガティ駐日米国大使会見
会見メモ
ウィリアム・ハガティ(William Hagerty)米大使が会見した。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 宮崎有美子/森万純
会見リポート
多彩な質問、答えは慎重
軽部 謙介 (時事通信社解説委員)
当日のネクタイには「NKC」のロゴ。1年前の初登壇時に日本記者クラブから贈呈した記念の品だ。
昨年8月の着任以来、北海道から沖縄まで日米友好を訴えて回っているという心意気が、ネクタイの選択にも見て取れた。
もちろん、駐日米国大使というポストに座る人物としての記者会見は、その程度で「めでたし、めでたし」というわけにはいかない。司会者の巧妙な会見運営もあり多彩な質問が飛んだ。
ただ、答えは概して慎重。「自由貿易を標榜するはずの共和党はなぜ変質したのか」という問いには、「公正な貿易環境を求めており、保護主義ではない」という答え。経済摩擦華やかなりし頃、よく耳にした言い回しだ。
北方領土の歯舞・色丹両島に米軍基地を置かない可能性を聞かれると「軍事的プレゼンスに関する憶測は控える」。そして北朝鮮情勢に関しても「最大限の圧力を継続することが必要」と模範答弁に徹していた。
逆に歯切れがよかったのは、年明けから始まる新しい通商交渉。対象にはモノの貿易だけでなくサービスや投資も含まれると断言し、「物品貿易協定(TAG)」なる造語をかざして「自由貿易協定(FTA)ではない」と強弁する日本政府の主張を否定した。
大使は冒頭の声明で「日米関係の成功の秘密は、両国民が共有する価値観と理念にある」と強調し、具体的には「法の支配」や「報道の自由」などを挙げた。
しかし、CNNの記者排除や国際ルール無視の経済制裁などこれまでの言動を見るにつけ、「共有の価値観」から逸脱しそうなのはトランプ政権自身ではないのかとの思いに駆られてしまう。
ひょっとしたら大使は同じ懸念をもっていて、本国向けにそのようなフレーズに力を込めたのかもしれない。
ぜひ確認したいので、今回贈呈した二本目の「NKC」ネクタイを締めての再々登壇を待つことにした。
ゲスト / Guest
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ウィリアム・ハガティ / William Hagerty
米国 / USA
駐日米国大使 / U.S. Ambassador to Japan