2018年10月26日 16:00 〜 17:00 10階ホール
グランディ国連難民高等弁務官 会見

会見メモ

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 熊野里砂


会見リポート

原則論も“あの人”への反論に

 中米ホンジュラスを出発した一万人にもなるかという大集団が米国を目指しメキシコを北上する中での来日となった。弁務官としては、彼らを難民と見るのか、移民と見るのか。

 「自分が暮らす社会における深刻な暴力から逃れてくる人々であれば、それは難民だ」

 ホンジュラスもエルサルバドルもグアテマラも、内戦が起きているわけではない。しかし「私も昨年、この3カ国を訪問し、特に女性や若者がいかに暴力や虐待にさらされているか、実際に自分の目で見てきた」と強調した。

 北上する集団は規模が大きい。「状況を精査したわけではないから断定的なことは言えない」と一呼吸置いた。それでも「深刻な暴力から逃れようとしている人々が含まれている可能性はある」と語り、見据えるのはあくまで弱者の保護だ。

 一方で「より良い機会を求めて移動している人たち」は移民として扱い難民と区別して考えている。

 強調したのは「米国も欧州連合(EU)も同じように義務を負っている」点だ。「難民申請はきちんと審査し、認定されたら庇護する」「認定されない場合は、人道的な方法で出身国に送還する」。どう対応すべきかははっきりしている。

 軍を派遣したり、壁を建設したりするのは「危機に対する最善の行動とは思わない」と語る。解決策を探るには「ホンジュラスをはじめ地域の国々を支援し、暴力の根本原因に対処することだ」とも訴えた。この理屈でいけば、トランプ米大統領による「ホンジュラスに資金や援助を渡さない」という警告は逆効果だ。

 しかし、今回の騒ぎが中間選挙を前にして移民への恐怖心をあおることが狙いなら、手段も目的も合っている。弁務官の言葉は前任者らと変わらない原則論だが、いちいちトランプ氏への反論になっているところが、今を映し出している。


時事通信社外信部編集委員  松尾 圭介

ゲスト / Guest

  • フィリッポ・グランディ / Filippo Grandi

    国連 / United Nations

    国連難民高等弁務官 / United Nations High Commissioner for Refugees

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