2018年10月30日 10:10 〜 11:05 9階会見場
ディディエ・レンデルス・ベルギー副首相兼外務・欧州問題担当相 会見

会見メモ

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)

通訳 大野理恵


会見リポート

課題山積のEUを語る

板東 和正 (産経新聞社外信部)

 ディディエ・レンデルス氏が会見を行ったのは、ドイツのメルケル首相が2021年秋までの任期限りで引退する意向を表明したことが日本で報じられた翌日だった。

 「多くの国々はこれまでなかった政党が増え、多様化している」

 ディディエ氏はメルケル氏の引退表明を受け、深刻な表情で発言した。ドイツでは10月28日、西部ヘッセン州の州議会選挙が行われ、メルケル氏が率いる保守系政党、キリスト教民主同盟(CDU)の得票率は27%で2013年の前回選挙から約11㌽減り、過去約半世紀で最低水準に低迷した。ティディエ氏は、メルケル政権について「首相4期目に入ったことは極めて安定していると言っていい」と評価した。しかし、メルケル氏の引退が決定したことで、欧州連合(EU)は「リーダー不在」に陥り結束が揺らぐ恐れも指摘されている。

 EUは他にも多くの課題を抱えている。世界が最も注目している問題が、EU離脱(BREXIT)だ。ディディエ氏は「離脱後も、英国とは将来に向けて可能な限り友好国として円滑にビジネスを継続したい」とEUとしての立場を明確にした。EUと英国の交渉がずれ込んでいる状況について「最善を尽くすが、合意なき離脱も含めて全ての準備をしている」と話した。

 欧州に進出する日本企業などへの影響についても触れ「産業界の皆様が懸念しているのは事実だ」とした上で「可能な限り、企業、産業界には確実性と安定性を確保したいと考えている」と打ち明けた。

 会見では、報道の自由の重要性について強調することも忘れなかった。サウジアラビア人記者、ジャマル・カショギ氏の殺害事件を受けて「欧州各地域でもジャーナリストが命を落とす事件がある。報道を守るため、まずは自分たちの国々で義務を果たすことが大切だ」と力を込めた。


ゲスト / Guest

  • ディディエ・レンデルス / Didier Reynders

    ベルギー / Belgium

    副首相・外相 / deputy prime minister and minister of foreign affairs and European affairs

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